LIXIL、循環型低炭素アルミで建築業界の脱炭素化を後押し

記事のポイント


  1. LIXILは10月から全製品に循環型低炭素アルミを標準展開する
  2. 量産化体制を構築したことで、従来と同じ価格帯で販売する
  3. オフィスビルに加え住宅向けにも展開し、業界全体の脱炭素をけん引へ

LIXILはこのほど、10月から全製品に循環型低炭素アルミを標準展開すると発表した。同社が国内外に持つすべてのアルミ製造拠点で製造できるようになったため、これまでの価格と同程度で販売する。この低炭素アルミは、ビル向け建材だけでなく、住宅向けの製品にも展開する。建築業界全体の脱炭素を後押しする。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

新地金を使用したアルミ形材と比較して、CO₂排出量を約50%削減する「PremiAL」を、LIXIL製品のアルミすべてに展開する

LIXILは9月18日、オンラインで会見を開き、10月から循環型低炭素アルミ「PremiAL(プレミアル)」を、同社が製造したアルミ形材を使った全製品に標準展開すると発表した。

プレミアルは、リサイクルアルミを60%使ったものだ。アルミ新地金だけで製造した場合と比べてCO₂排出量は約50%少ない。この削減比率については、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)による第三者検証を受けた。

今回の特徴は、同社が価格据え置きで販売する点にある。一般的に環境配慮素材は高くなりがちだ。同社は、国内外に持つすべてのアルミ製造拠点でプレミアルを製造できる体制を構築した。量産化が可能になり、これまでと同じ価格で提供していく。2027年度には売上高4千億円を目指す。

LIXILでは、2050年までの環境ビジョンの一環として、2031年3月期までにリサイクルアルミの使用比率を100%にすることを目標に掲げている。プレミアルの事業展開の拡大によって、この目標の達成を目指す。

全世界のCO₂排出量のうち、建設部門の排出量は37%を占める。ライフサイクル全体で温室効果ガス(GHG)排出量を減らすことが重要だ。欧州では2030年に全ての新築建築物にライフサイクル全体でのGHG排出量の算定・開示を義務付ける。

日本の国交省でも、建築物のライフサイクル全体でのGHG排出量を算定する「LCA算定」の義務化に向けた議論を行う。

同社の吉田聡・執行役専務 LIXIL Housing Technology担当は、「社会課題の解決とともに事業のさらなる成長を目指している。30年近くに渡って築き上げたアルミリサイクル技術を活用した『プレミアル』シリーズは業界全体の脱炭素化に貢献するソリューションの一つだ。ビル向け建材だけでなく、住宅向け製品も含めて展開することで、建築業界の脱炭素化を促したい」と話した。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #脱炭素

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