オルタナ総研統合報告書レビュー(45):アクサ生命

記事のポイント


  1. アクサ生命はニューロダイバーシティに取り組んでいる。
  2. 定着・キャリア形成支援等を実施し、室内農園での就労スキームを導入した。
  3. 個人と組織の持続可能な成長を実現できるインクルーシブな職場環境の構築を目指す。

アクサ生命は、ニューロダイバーシティに取り組んでいます。入社後の定着・キャリア形成支援等を実施し、室内農園での就労スキームを導入しました。「インクルージョン&ダイバーシティ」を経営戦略の柱としており、人と組織の持続可能な成長を実現できるインクルーシブな職場環境の構築を目指しています。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

アクサ生命はニューロダイバーシティに取り組む

ニューロダイバーシティ(Neurodiversity、神経多様性)は、Neuro (脳・神経)とDiversity(多様性)の組み合わせの言葉です。「脳や神経、それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かす」考え方です。

自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、学習障害といった発達障害において生じる現象を、 能力の欠如や優劣ではなく、「人間のゲノムの自然で正常な変異」として捉える概念です。

ニューロダイバーシティは、自社で活躍し得る人材の幅を広げ、多様な特性を受け入れることで相互理解と相互尊重の文化が醸成され、従業員全体のエンゲージメントや生産性が向上し、イノベーションの創出にもつながると考えられます。

「アクサ生命2025Annual Report」の「一人ひとりが尊重され、活躍できる職場環境」(p20)では、次のように記されています。

「アクサ生命は、『インクルージョン&ダイバーシティ』を全社的な経営戦略の重要な柱としており、多様性に富んだ従業員一人ひとりが尊重され、それぞれの強みを発揮して活躍し、個人と組織の持続可能な成長を実現できるインクルーシブな職場環境の構築に取り組んでいます。」

「障害の有無にかかわらず誰もが活躍できる職場」の具体例として、P23には次のように紹介されています。

  1. 入社後はニーズに合わせて細やかな面談を行い、社外支援機関との連携による定着・キャリア形成支援等を実施して、それぞれの強みを発揮している。
  2. 会議では、手話によるコミュニケーションが日常的に行われ、聴覚の障害にかかわらずお互い歩み寄れるインクルーシブな職場づくりへの貢献を目的に活動しているERG(従業員ネットワーク)が、定期的にイベントを開催している。
  3. さまざまな障害特性を持った従業員が活躍できる職場環境の実現のために、室内農園での就労スキームを導入した。

一方で、経済産業省は、ニューロダイバーシティ推進に向けた課題を「推進に係る効果の定量把握」「受入部門・職種の拡大」「一人一人のキャリアパスに応じた支援体制の構築」と掲げています。

次回のレポートでは、これらの課題への取り組み状況を開示されたらいかがでしょうか。

muroi

室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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キーワード: #ジェンダー/DE&I

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