記事のポイント
- 東京23区では2021年頃から火葬料が高騰し、数年で約1.5倍に達した
- 背景には物価高に加え、民営火葬場への依存という独自構造がある
- 高騰下でも「安さ」より「納得感」を重視する葬儀が増えている
東京23区で火葬料の高騰が続いている。2021年頃まで6万円前後だった料金は、数年で9万円近くに達し、他都市や地方との格差が拡大している。要因は全国的な物価高だけではない。高齢化で需要が増える一方、火葬炉は容易に増設できず、供給が限られている。こうした中でも、遺族の間では「納得感」を重視する葬儀が選ばれている。(オルタナ編集部・川原莉奈)

東京23区で火葬料が高騰している。
2021年頃まで約6万円だった民営火葬場の火葬料は、現在約9万円前後へと上昇している。
背景にはどのような事情があるのか。葬儀サービス「花葬儀」を運営するリベント(東京・品川)に話を聞いた。
同社広報がまず指摘するのは、死亡者数の増加に伴う需給の逼迫だ。高齢化により火葬需要が増え続ける一方、都市部では土地の確保や住民感情への配慮などが障壁となり、火葬炉の新設や増設は極めて困難だ。供給が限られたまま需要だけが拡大する構造が、価格を押し上げている。
さらに、23区特有の運営体制も影響している。区内9カ所の火葬場のうち、公営はわずか2カ所にとどまる。大半を占める民間施設では、燃料費や人件費、設備更新費といったコスト上昇分を公費で賄うことができず、利用料金に転嫁せざるを得ない。
これに対し、隣接する神奈川県には、公営火葬場が18カ所あり、横浜市では公営火葬場を約1万2千円で利用できる。この「選択肢の少なさ」が、23区における火葬費用の負担を重くしている。
一方で、費用が上がるなかでも、遺族の意識は単なる節約志向にとどまらない。同社によると、規模を抑えることよりも「誰の心に何を残したいか」を重視する葬儀が選ばれているという。
火葬料の高騰は、葬儀の在り方や価値観そのものにも変化をもたらしている。



