記事のポイント
- 欧州委員会は航空会社20社を対象にグリーンウォッシュの調査を開始した
- ベルギー、オランダ、ノルウェー、スペインの規制当局が動く
- 誤解を招く可能性のある「サステナブル」の主張に監視の目が広がる
欧州委員会は4月30日、航空会社20社に対して、グリーンウォッシュに対する調査を開始した。具体的な航空会社名は挙げていないが、ベルギー、オランダ、ノルウェー、スペインの規制当局が動いている。企業による誤解を招く可能性のある「サステナブル」な主張に対して、海外では規制が強化されている。(オルタナ副編集長・北村佳代子)

欧州委員会とEU消費者保護協力(CPC)ネットワークは4月30日、航空会社20社に対し、誤解を招く可能性のあるいくつかのタイプのグリーン・クレーム(環境主張)を特定し、30日以内にEU消費者法に沿った対応を求めるレターを送付した。
CPCネットワークは、ベルギー経済検査総局、オランダ消費者市場庁、ノルウェー消費者庁、スペイン消費者総局が主導する。
問題視したのは、カーボンオフセットへの投資やSAF(持続可能な航空燃料)の使用によって、飛行機が排出するCO2をあたかも相殺できるかのような主張だ。
航空会社が顧客に対して、追加料金を支払えば気候プロジェクトへの投資やSAF(持続可能な航空燃料)の使用によって飛行機のGHG排出量相殺に貢献できる、と謳った主張を、多数発見したという。
2024年3月には、オランダの裁判所が、「サステナブルなフライト」と謳ったKLMオランダ航空の主張は違法との判決を下した。英国でも23年12月、同国の広告監視機関が航空会社3社の広告を禁止した。
航空機によるGHG排出量は、EU全体の約4%を占める。航空業界は、2050年までの排出量正味ゼロを掲げるが、SAFについては原料調達やコストなどの面での課題も多く、脱炭素化が最も困難な分野のひとつと考えられている。
■特定された誤解を招く可能性のある行為とは