「グリーンウォッシュ」への懸念が組織の「質」高める

記事のポイント


  1. 社会課題への関心が高まり、グリーンウォッシュへの懸念が顕在化してきた
  2. 社会課題に取り組む団体とそうではない団体を見抜くモノサシが必要だ
  3. そのモノサシはウォッシュへの懸念から生まれ、結果的に団体の質を高める

「世界のインパクト投資の今の最大の課題は透明性と誠実さの確保だ」。2年前のG7ロンドンサミットで、官民連携で生まれたインパクトタスクフォースの成果発表の中で委員長の、ニック・ハードは語った。(日本ファンドレイジング協会代表理事=鵜尾 雅隆)

社会課題解決に多くの人が関心を持ち、行動し始めている中、実態を伴わないイメージ先行の行動に対する懸念が改めて関心を集めている。

ファンドレイジングの世界でも、米・イエール大学の心理学教授のポール・ブルームが執筆したアゲインスト・エンパシー『反共感論』という書籍が2016年に出版されて話題となった。

彼は共感性というものが、実態や行動に関係なくイメージで人を動かしてしまうということの懸念を訴え、人権侵害や実態がない活動への寄付につながるのではないかと述べている。

社会課題解決に真剣に取り組む組織と、クリーンなイメージだけを売り出し社会の共感を得たいとする実態のない組織をどう見分けるのか。

ここには、「悪気のないウォッシュ」が存在する。「実体としてよいことにつながっているはずだ」と信じて行動した組織が、実はむしろ社会によくないことにつながっていたと後で分かることもある。

ここで一つの視点は、「ウォッシュ」自体は一つの社会現象として社会認識が進化してきた証でもある、という点である。

「ウォッシュ」は社会認識が発展した証

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鵜尾 雅隆(日本ファンドレイジング協会代表理事)

連載:社会イノベーションとお金の新しい関係 日本ファンドレイジング協会代表理事。国際協力機構、外務省、米国NPOを経て、ファンドレイジング戦略コンサルティング会社ファンドレックス創業。寄付、社会的投資の進む社会を目指して日本ファンドレイジング協会を創設。著書に『ファンドレイジングが社会を変える』など。

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