パリ五輪カナダ公式ウェアに「グリーンウォッシュ」疑い

記事のポイント


  1. パリ五輪でカナダ選手団が着用する公式ウェアブランドが非難されている
  2. カナダ選手団の公式ウェアを提供するのは、ルルレモンだ
  3. カナダに続きフランスでも、「グリーンウォッシュ」として告発された

パリ五輪で、カナダのオリンピック選手団が着用する公式ウェアのブランドが非難されている。このウェアを提供しているのはカナダ発アパレルブランド・ルルレモンだ。環境保護団体は、温室効果ガス(GHG)排出量が増加している同社が、地球環境に貢献しているかのような販促活動を打ち出しているとして、カナダ国内に続きフランスでも、「グリーンウォッシュ」だとして提訴した。(オルタナ副編集長・北村佳代子)

ルルレモンが提供するパリ五輪でのカナダ選手団の公式ウェア 
(c) Photo by Scott Ramsay for lululemon.

■ 環境団体が広告キャンペーンを告発

カナダの選手団は7月26日(現地時間)、パリ五輪の開会式で、赤と白のデザインを身にまとって登場した。この公式ウェアは、カナダ発アパレルブランド・ルルレモンが提供する。ルルレモンは2022年から、同国代表チームに公式ウェアを提供している。

しかしこのルルレモンに対し、五輪開会前から、環境団体は抗議活動を展開していた。カナダ・バンクーバーの旗艦店の前では、活動家たちがストリートパフォーマンスを行ったほか、トロントでは、アスリートたちが「油まみれ」になることを示唆する横断幕が建物に掲げられた。

そして開会直前の24日には、カナダの環境保護団体スタンド・アースが、フランス当局に対して、ルルレモン・フランスも「グリーンウォッシュ」だとして提訴したのだ。

「私たちカナダのアスリートたちは、カナダ人の価値観に沿ったブランドを身に着けて、最高のパフォーマンスを発揮する資格がある」と、スタンド・アースのトッド・パグリア氏(エグゼクティブ・ディレクター)は言う。

■ カナダの規制当局、4月に調査開始

スタンド・アースは今年2月、カナダ国内で、同社の広告キャンペーン「Be Planet(ビープラネット)」がグリーンウォッシュにあたるとして告発を行った。これを受け、カナダの規制当局は今年4月に、ルルレモンが環境配慮を誇張した可能性について、正式な調査を開始した。

ルルレモンが2020年から展開している「Be Planet」キャンペーンは、今も同社のホームページ上で確認できる。そこには「私たちの製品と行動が、地球環境が損なわれるのを回避し、地球を健全な惑星へと回復するのに貢献する」と銘打つ。

スタンド・アースは、これを「同社の実態とは明らかな矛盾がある」と問題視する。

キャンペーン開始から2022年までの2年間で、同社の温室効果ガス(GHG)排出量は、スコープ3(バリューチェーン全体)も含め、2倍以上に増加し、その排出量は120万トンに上る。スタンド・アースは「年間50万台の自動車が排出するより多い」と指摘する。

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

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キーワード: #脱炭素

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