ドールの「もったいない」がビジネスになった

記事のポイント


  1. 青果大手のドールはフードロス対策の一環で「もったいないバナナプロジェクト」を進める
  2. 同プロジェクトは、帝国ホテルやスターバックスなど、異業種コラボを続々と生み出す
  3. ドールのアジア事業を手がける伊藤忠商事出身の青木寛社長に話を聞いた

青果大手ドール(東京・中央)の「もったいないバナナプロジェクト」が、帝国ホテルやスターバックスコーヒーなど、異業種コラボに続々とつながり始めた。アジア事業を伊藤忠商事が買収してから10年余。業界トップを目指す有力な戦略の一つがフードロス対策だ。伊藤忠出身の青木寛社長に話を聞いた。(聞き手・オルタナ編集長=森 摂、オルタナ副編集長=北村 佳代子、写真=廣瀬真也)

「エシカルにはニーズがある」と語る青木社長

ドール 青木寛(あおき・ひろし)社長CEO 

1993年、伊藤忠商事株式会社入社。食料カンパニーにて、果汁・果実加工品のトレードを担当。ドール、ファミリーマートでビジネス開発・商品開発などに従事した後、2019年伊藤忠商事リテール開発部長、2023年11月株式会社ドール代表取締役社長CEOに就任。ドール日本事業の年商は約580億円(2023年度)。

■50社超が賛同し60以上の商品に

――ドール主導の「もったいないバナナプロジェクト」に多くの企業が参画しています。取り組みを始めたきっかけは。

青木:ドールでは、主産地のフィリピンで年間約50万トンのバナナを収穫しますが、うち約2万トンが、皮についたキズやサイズのばらつきなどで規格外になるのです。このため、生産地のフィリピンで廃棄していました。

それは「もったいないよね」ということで、このような規格外のバナナを活用できないかと考えました。

熟成加工していない緑色の「グリーンバナナ」を加熱して食べる新たな提案をはじめ、ピューレ、バナナパウダー、冷凍スライスなど、レシピとともに新たな商品化を手がけ、収量の増減に左右されない新たなビジネスモデルを生み出しました。

プロジェクトが始動して3年が経ち、今では50社以上の企業に賛同いただいています。

帝国ホテルではスイーツに採用いただきました。ディーン&デルーカやスターバックスではマフィンに、コメダ珈琲ではバナナジャムに、ドトールコーヒーではバナナシェイクに、東京ばな奈ではお菓子だけでなくカレーにも採用してもらいました。

すでに各社とのコラボ商品が60品目以上も世の中に出ており、2025年に向けても、すでに多くのパートナー企業と話が進んでいます。

ドールはこれまで、社会的な意義のある取り組みを数多く手掛けてきましたが、それを広く社外に発信していなかったため、こういった取り組みの多くは業界でもあまり知られていませんでした。

プロジェクトの広がりとともに、より多くの消費者に、ドールを想起してもらえたらうれしいです。

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■エシカルにはニーズがある
■気候変動からビジネスを守る

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北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

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キーワード: #フードロス

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