記事のポイント
- 米国発の「ギビング・バッグ」が日本など世界15カ国のホテルに広がっている
- 旅行先で本や衣類など減らしたい荷物をチャリティに回せる仕組みだ
- 直近ではアパートメントホテル企業が導入、年間1000点の寄付を目指す
米国発の「ギビング・バッグ(Giving Bag)」が日本など世界15カ国のホテルに広がっている。これは、旅行者が旅行先で本や衣類などの荷物を減らしたいときに、捨てるのではなくチャリティに回すことができる仕組みだ。直近では日本のアパートメントホテル企業が導入を決めた。年間1000点の寄付を目指すという。(オルタナ編集部=萩原哲郎)

■世界15カ国で広がる「ギビング・バッグ」、不要な荷物を寄付
米ギビング・バッグ社(本社・ワシントン州)が展開する「ギビング・バッグ(Giving Bag)」は2013年にアパートメントホテルに導入したことをきかっけにはじまり、現在は日本を含む世界15カ国で広がる。共同創業者であるクイン・コックスCEOとリリア・カリミ氏が自らの経験をもとに考案したサービスだ。
「ギビング・バッグ」は宿泊客が旅行中に不要になった荷物を、地域の社会福祉団体などに寄付することで、ホテルからの廃棄物の削減などにもつなげることができる。導入ホテルにはフォーシーズンズホテルなどが名を連ねており、2025年には米の大手旅行雑誌「Travel+Leisure」でサステナビリティのグローバル・ビジョン・アワードを獲得した。
クイン・コックスCEOはオルタナの取材に対して、現在の導入ホテル数は非公開としつつも、「2026年はさらに拡大する予定だ」と回答した。日本においても拡大予定だとして、「ホテルや企業、住宅、観光関係の事業者などとパートナーシップを結んでいきたい」と話した。
■東京で初導入のセクションL、年間1000点回収目標に
都内を中心に13棟のアパートメントホテルを運営するセクションL(東京・千代田)は、このほど「ギビング・バッグ」を6施設で導入した。都内のホテルで導入したのは初だという。
セクションLのホテルで回収した荷物は、国際NGOの救世軍(東京・千代田)が運営する「ReShare Store TOKYO麻布店」などで販売。売上は社会福祉活動に充てられる。
セクションLの担当者によると「宿泊者が不要となった荷物を客室に置いていくことはしばしばある」とのこと。お土産などを購入して、旅行用スーツケースに入りきらなくなって、不要な荷物が置かれていくようだ。なかには、より大きいスーツケースを購入して、前のスーツケースが置かれていることもあるようだ。
「1カ月の保管期限を過ぎた品物については、処分せざるをえないものも多かった」と語る担当者。「ギビング・バッグ」を導入したことで、こうした品物をチャリティに回すことができる。廃棄物削減と社会福祉の双方に貢献でき、ホテル運営事業者のサステナビリティ施策としても期待される。
「現在は6施設のみの導入だが、将来的には全施設に導入して年間1000点の回収を目標にしたい」(セクションL担当者)
2025年の訪日観光客数は過去最高の4200万人超となった。「オーバーツーリズム」という負の側面も目立つ。「ギビング・バッグ」のような仕組みをホテルが導入することで、経済活動以外の新たな利益を地域社会にもたらしてくれそうだ。



