記事のポイント
- ウェルビーイングの第三者認定制度が2026年1月から始まった
- 抽象的に語られがちだったウェルビーイングの国際規格(ISO)だ
- 認定制度の策定をリードした専門家にそのポイントを聞いた
ウェルビーイングの第三者認定制度が2026年1月から始まった。抽象的に語られがちだったウェルビーイングを、国際標準という形で整理した国際規格だ。世界初となる認定制度の策定をリードした一般社団法人社会的健康戦略研究所(東京・港)の浅野健一郎・代表理事に、そのポイントを聞いた。(聞き手=オルタナ輪番編集長・池田真隆)

――ウェルビーイングの「ISO25554」は国際ガイドラインという位置づけです。認証規格とは異なりますか。
ISO25554はいわゆる認証規格ではなく「ガイドライン」です。多くの方が思い浮かべるISO9001(品質マネジメント)やISO14001(環境マネジメント)は、マネジメントシステム規格(MSS)で、第三者認証機関による監査が前提になります。
しかしISO25554は、組織がウェルビーイングをどう推進するか、その原則やプロセスを示した指針であり、必ずしも第三者認証を義務付けていません。
――このガイドラインに沿っているか、どのように認定しますか。
「自己宣言」「相互認定」「第三者認定」の三つの方法を選べます。自己宣言は、組織が自ら適合を宣言する方式です。ただし、無制限に宣言できると信頼性が損なわれます。
そこで私たちは、ウェルビーイング学会誌への事例投稿と査読という仕組みを整えました。投稿された内容が専門家の査読を経て公開されることで、透明性と客観性を担保します。
相互認定とは国家間で適合性を確認し合う制度です。それを企業間で応用しましたこれまでに東京ビッグサイトで開催された「ウェルビーイングテクノロジー展」などで、複数の専門家とともに公開の相互認定会を実施しました。
企業同士が取り組みを開示し合い、チェックリストに基づいて相互に評価する。まだ新しい試みなので、私たちが立会人としてプロセスの妥当性を確認しています。
第三者認定については、現時点では私たちの法人が担っています。書類審査に加え、現地審査も実施します。複数企業の事例を横断的に見ているため、合格ラインを公平に設定できる利点があります。ISOに詳しくない企業でも申請しやすいという声もあります。

浅野健一郎(あさの・けんいちろう)
一般社団法人社会的健康戦略研究所・代表理事
1989年藤倉電線株式会社(現株式会社フジクラ)に入社。19年6月から株式会社フジクラ健康社会研究所代表取締役。同年10月から一般社団法人社会的健康戦略研究所の代表理事。経済産業省次世代ヘルスケア産業協議会健康投資WG専門委員、厚生労働省日本健康会議健康スコアリングWG委員など多数兼任。
■「ウェルビーイングの定義はあえて作らない」
■心理的安全性が精神的・身体的な「健康」を支える
■経済指標では「幸福」は測れない

