和歌山県海南市の駅前。普段は何もない広場に、2日間だけ、理想の街を提唱するような「仮設商店街」が突如現れた。2015年の夏にはじまった企画「ARCADE(アーケード)」。2年目となる今年10月22日、23日に開催された。和歌山を主とする厳選された約50店舗が出店し、来場者数は約1万人に上った。駅前は子連れ家族や老夫婦らの笑顔で溢れた。(前田 有佳利)
海と山に囲まれた和歌山県海南市。80分ほどで大阪に出られる好立地なローカルだが、それゆえに年々人口減少が続き、街なかにはシャッターの降りた商店が散見。市民の憩いの空間となるはずの駅前広場でさえ、人影がまばらな状態となっている。
「地元には何もない」と都会へ出てしまう若者も少なくない中、和歌山拠点を選んだ30代40代の大人たちが集い、自分たちがこの街を選んだ理由は「カッコいい大人の背中に出逢えたから」という共通項に辿り着いたことから、2015年に1つの企画がスタートした。
海南駅前に、理想の街の縮図となる仮想商店街をつくる、その名も「ARCADE」。普段何もない海南駅前の広場に、木製パレットを組み合わせた建屋が現れ、和歌山県内を中心に厳選された店舗が勢揃いする、年に2日間のマーケット企画だ。
「THINK OF A TOWN」を合言葉に、「街をより良くするために必要なものは何か」を突き詰め、先人たちから受け取ったバトンを次世代に渡すべく、ARCADEという挑戦をはじめた。