記事のポイント
- サステナ経営塾21期下期にブリヂストンの稲継明宏・グローバルサステナビリティ戦略統括部門長が登壇
- 講義では、社会価値と顧客価値の両立など、ブリヂストンのサステナビジネスモデルを語った
- イントラパーソナル・ダイバーシティ(個人内部の多様性)を重視し、組織の多様化や人財交流を進めている
オルタナは11月19日、サステナ経営塾21期下期第2回を開いた。第1講には、ブリヂストンの稲継明宏・グローバルサステナビリティ戦略統括部門統括部門長が登壇し、[ブリヂストンのサステナビリティビジネスモデル]と題して講義した。本講義では、ブリヂストンがサステナビリティを経営の中核に据え、価値創造に結びつくビジネスモデルへと発展させている取り組みを学んだ。講義の要旨をまとめた。

・ブリヂストンは「最高の品質で社会に貢献」することを使命とし、2050年にはサステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値と顧客価値を持続的に提供する姿を目指している。
・同社は、商品を「創って売る」「使う」原材料に「戻す(リサイクル)」という、バリューチェーン全体でカーボンニュートラル化、サーキュラーエコノミーの実現、ネイチャーポジティブの推進とビジネスを連動させる独自のサステナビリティビジネスモデルへの変革を進めており、より循環型・再生型のビジネスモデルへと進化させている。
・サステナビリティの推進において重要なのは人財であると指摘した。アナリスト、ストラテジスト、コミュニケーター、プロジェクトマネージャーなど、役割ベースの人財類型を定義し育成している。一人ひとりが複数領域の専門性を持つ「イントラパーソナル・ダイバーシティ」を重視し、組織としての多様化や、人財交流を進めている。
・持続可能な価値創出のためには、サステナビリティ目標と経営戦略・ビジネスシナリオの同期化が不可欠である。講義では、ビジネスのみを見がちな事業担当者にサステナの視点を橋渡しすること、またサステナ側も目標を策定する際にはビジネス文脈に噛み砕いて説明する必要があると強調された。
・最後に稲継氏が心がけている三点が紹介された。第一にサステナビリティは「終わりのないJourney」であり、適切なペースで活動を積み重ね、後戻りさせない工夫が重要であること。優先順位を見極め、「今やるべきことか」を常に問う姿勢が求められる。第二に、これからは実行力がより一層問われるため、成果を見える形で発信し、差別化・競争優位につなげることが必要だと説明した。第三に、サステナ文脈をビジネス文脈に変換する「翻訳力」を鍛えること。社会動向への感度を高め、本質を見抜き、さらに長期視点から説明することで、サステナ担当者としての存在価値を発揮できると締めくくった。



