サステナ経営塾2025: [脱炭素と企業戦略] JCI・加藤共同代表講義

記事のポイント


  1. サステナ経営塾21期下期に気候変動イニシアティブの加藤共同代表が登壇
  2. 加藤共同代表はリコーのサステナ担当役員として脱炭素化を推進してきた
  3. 気候対策を怠れば、GDPの10%相当の経済損失が生じると強調した

オルタナは10月15日、サステナ経営塾21期下期第1回を開いた。第4講には、気候変動イニシアティブ(JCI)の加藤茂夫共同代表が登壇し、「脱炭素と企業戦略」と題して講義した。環境経営の元祖リコーでサステナ担当役員を務めた加藤共同代表は、「気候対策を怠れば、GDPの10%相当(60〜70兆円)の経済損失が生じ、1人当たりの年収が60万円減少する可能性もある」と指摘した。講義の要旨をまとめた。

サステナ経営塾に登壇した、JCIの加藤共同代表。脱炭素経営を推進することの重要性を強調した

・気候変動はもはや「変動」や「温暖化」という段階を超え、「地球沸騰化」「気候危機」と呼ぶべき緊急事態にある。世界の平均気温は上昇を続け、台風・洪水・山火事などの異常気象が頻発し、命・健康・経済すべてに深刻な影響を与えている。日本でも海面上昇による甚大な資産損失や居住地喪失のリスクが高まっている。

・国連やIPCCの科学的報告書によれば、これらの原因は明確に人為的な活動にある。石炭・石油など化石燃料の燃焼、農業、輸送などあらゆる経済活動が温室効果ガスを排出している。科学者は、産業革命前と比べて1.5℃以内の気温上昇に抑えるため、2050年までに排出量を実質ゼロ(ネットゼロ)にする必要があると警告する。実現は不可能ではなく、既存技術だけでも達成可能だと国際エネルギー機関(IEA)は示している。

・世界ではパリ協定以降、再生可能エネルギーの導入が急拡大しており、新規発電容量の90%以上を占めるまでに成長した。再エネコストは大幅に下がり、クリーンエネルギー産業は世界で22兆ドル規模・3000万人以上の雇用を生み、経済成長の原動力となっている。

日本は化石燃料の輸入に毎年30兆円を費やす
再エネ導入の4原則、「持続的で追加的」など
「気候変動対策を怠ることは人権侵害」: 国際司法裁判所

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株式会社オルタナは2011年にサステナビリティ・CSRを学ぶ「CSR部員塾」を発足しました。その後、「サステナビリティ部員塾」に改称し、2023年度から「サステナ経営塾」として新たにスタートします。2011年以来、これまで延べ約700社900人の方に受講していただきました。上期はサステナビリティ/ESG初任者向けに基本的な知識を伝授します。下期はサステナビリティ/ESG実務担当者として必要な実践的知識やノウハウを伝授します。サステナ経営塾公式HPはこちら

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