スーパーホテル社長「地域の情緒的価値を提供できるホテル目指す」

記事のポイント


  1. コロナ禍を乗り越えて過去最高売り上げを更新し続けるスーパーホテル
  2. 人材育成や従業員満足度の向上に注力しながら業績を伸ばしてきた
  3. 山本社長は地域課題を解決し「情緒的価値」を提供する将来像を描く

全国178店舗・海外2店舗を展開し、コロナ禍を乗り越えて過去最高売り上げを更新し続けるスーパーホテル(大阪市)。人材育成や従業員満足度の向上に注力しながら業績を伸ばしてきた。同社の山本健策社長は、地域の課題を解決し、「情緒的価値」を提供できるホテルの将来像を描く。(オルタナ創刊編集長・森摂、輪番編集長・吉田広子、オルタナ総研・坂本雛梨)

山本健策(やまもと・けんさく)
スーパーホテル代表取締役社長。1976年、兵庫県生まれ。上智大学卒業。旧みずほリサーチ&テクノロジーズを経て、2002年に父が経営するスーパーホテルに入社。フロント営業から始め、主要部門を経験。16年、スーパーホテル常務取締役。17年、介護事業を行うグループ会社スーパー・コート社長。20年から現職。

「感謝の気持ちを持てるかが重要だ」と語る山本社長(撮影・廣瀬真也)
「感謝の気持ちを持てるかが重要だ」と語る山本社長(撮影・太田未来子)

――スーパーホテルは、「ウェルビーイングな未来」を目指しています。どのように実現していく考えですか。

まず、CS(顧客満足)の土台にあるのは、ES(従業員満足)だと考えています。スタッフ自身が心身ともに健康で、幸せでなければ、お客さまに最高のおもてなしを提供することはできません。そのために、2025年に「ウェルネス委員会」を立ち上げました。

委員会では、スタッフ自身が企画を考え、全社員を巻き込みながら取り組みを進めています。例えば、運動会やフットサル、バスケットボール、バレーボールなどのスポーツイベントを定期的に開催し、その後に食事会を開いて交流を深めています。

こうした取り組みの結果、健康経営に関する評価も向上しています。24年以来、3年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されています。従業員満足度の指標となる「モチベーションカンパニー(中小企業部門)」にも、23年以降、4年連続で選ばれています。

■感動を提供する人財に育てる

――具体的に、どのようにESを高めていくのでしょうか。

当社は、人財目標として「自律型感動人間」を掲げています。自律型感動人間とは、自ら考え、自ら行動し、周囲への感謝を忘れず、人に感動を提供できる人間になろうという考え方です。

私は、人の幸福は単純なお金儲けではないと思っています。お金はあくまで手段です。自己実現をしたいのか、家族を幸せにしたいのか、あるいは世のため人のために貢献したいのか。

マズローの欲求五段階説では自己実現が最上位とされていますが、私はその上に「利他の精神」があると思っています。世のため、人のために行動すると、不思議と満足感や幸福感が高まり、「もっとやりたい」という気持ちになるのです。それが、当社の環境活動の原点でもあります。

当社は熊本県水俣市にホテルを構えていますが、2000年前後、当時の水俣市長から「公害の町から環境の町へ生まれ変わりたい」という思いをお聞きしたことがありました。そこで、当社も水俣市長に背中を押される形で、2001年に環境マネジメントシステムの国際規格「ISO14001」を取得しました。

そこで気付いたのは、環境への取り組みが、人の意識や地域の空気そのものを変えるということでした。現会長の山本梁介も、水俣で環境活動が進むにつれ、街全体が明るくなり、人も元気になっていくのを実感したそうです。

スタッフ一人ひとりに、「世のため、人のため、環境のために働くこと」が、結果として大きな満足感や幸福感につながることを実感してほしいと考えています。

――ホテルは、やはり「人づくり」が重要だということですね。現在、社員の皆さんはどの程度「自律型感動人間」になれていると感じていますか。

感覚的には、8―9割くらいまで来ていると思っています。ホテルですから、建物や設備ももちろん重要です。ただ、最終的には、「人」が価値をつくる仕事だと思っています。

一店舗一店舗が「エクセレントなホテル」であることを目指したい。そのためには、そこで働くスタッフ自身のESが高く、ホスピタリティを持って働ける環境が欠かせません。だからこそ、人づくりには特に力を入れています。

併せて、待遇面の見直しも進めています。26年4月には、総合職の初任給を25万円から30万円に引き上げました。全社員を対象としたベースアップに加え、業績連動手当や若者応援手当も新設したところです。

――2011年には環境大臣から「エコ・ファースト企業」として認定されました。宿泊時に発生する二酸化炭素排出量を100%オフセットする「CO2実質ゼロ泊」について、どのように推移していますか。

24年度の実績としては、約406万泊に対し、約1万5千トンのCO2をカーボン・オフセットしました。累計では、2959万泊を突破し、約15万トンのCO2をカーボン・オフセットしています。

店舗で使用する電力については、全店舗で電力会社のCO2フリープランを契約するか、非化石証書を購入しています。

(この続きは)
ホテルの力で地域の課題を解決
■創業から30年経ち、再び「尖った存在」に
■ホテルの支配人、外国人財も活躍

有料会員限定コンテンツ

こちらのコンテンツをご覧いただくには

有料会員登録が必要です。

yoshida

吉田 広子(オルタナ輪番編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。2025年4月から現職。執筆記事一覧

執筆記事一覧
キーワード: #サステナビリティ

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。