日本の1-6月石炭輸入、4年ぶりに増加: 石炭火力の稼働制約緩和が影響も

記事のポイント


1.日本の上半期の石炭輸入量が4年ぶりに増加した
2.中東情勢の悪化で政府が石炭火力の稼働抑制を緩和していた
3.石炭輸出国インドネシアでは主要先進国向けで日本だけが増加した


日本の2026年上半期(1~6月)の石炭輸入量が4年ぶりに増加したことが分かった。前年同期比4.8%増の7762万トンで、発電などに使う一般炭だけでなく、製鉄用の原料炭も増えた。中東情勢の悪化で液化天然ガス(LNG)の供給リスクが高まり、政府が石炭火力の稼働制約を一時的に緩和したことも影響したとみられる。世界最大の石炭輸出国インドネシアでは、主要先進国向けで日本だけが増えた。(オルタナ副編集長=京正裕之)

財務省の貿易統計をオルタナ編集部が集計した。2026年1~6月の石炭輸入量は7762万トンで、前年同期の7408万トンから約353万トン増えた。輸入額も前年同期比10.7%増の1兆7889億円となった。

上半期の石炭輸入量が前年を上回るのは2022年以来4年ぶり。2022年の8966万トンから、2023年=8269万トン、2024年=7730万トン、2025年=7408万トンと3年連続で減少していた。

■一般炭・原料炭とも増加

石炭の種類別では、発電や産業用ボイラーなどに使う一般炭(無煙炭含む)が前年同期比2.9%増の4995万トンだった。製鉄用コークスの原料などになる原料炭も8.3%増の2767万トンとなり、いずれも前年同期を上回った。

国別では、一般炭の最大の輸入先であるオーストラリアからの輸入量が前年同期比4.4%増の3666万トンとなった。インドネシアからも0.8%増の597万トンだった。

原料炭でもオーストラリアからの輸入が16.1%増の1460万トン、インドネシアからも6.6%増の634万トンとなった。

石炭は発電部門だけでなく、鉄鋼部門でも脱炭素の焦点となる。一般炭は主に火力発電の燃料として燃やす一方、原料炭は主にコークスに加工し、高炉で鉄鉱石から酸素を取り除く還元材などとして使う。日本政府は水素還元製鉄や大型電炉などの導入を進め、鉄鋼生産に伴うCO2排出量の削減を目指している。

■LNG供給不安で石炭火力の制約を緩和

■インドネシアの石炭輸出、印中向け減少も日本増加

■LNG供給不安で石炭火力の制約を緩和

一般炭の輸入増加の背景には、2月末以降の中東情勢の悪化によるエネルギー安全保障上のリスクの高まりがある。資源エネルギー庁によると、ホルムズ海峡は世界の天然ガス取引量の約2割が通過する。中東情勢を受けて政府は3月下旬に、2026年度は非効率石炭火力の年間設備利用率を50%以下に抑える措置を適用しないことを決めた。

政府は石炭火力の稼働を高めることで、年間約50万トンのLNGを節約できると試算する。これに対し、環境NGOなどで構成するキャンペーン団体「Japan Beyond Coal(ジャパン・ビヨンド・コール)」は石炭火力の稼働制限の解除で、CO2が1年間で170万トン増えるとの概算を発表した。

その上で「省エネの徹底と再生可能エネルギー、電気自動車(EV)への本格的な転換を加速させるべき局面だ」と主張していた。

■インドネシアの石炭輸出、印中向け減少も日本増加

世界最大の石炭輸出国インドネシアでは、輸出全体が減る中で日本向けが増えた。同国の貿易統計によると、2026年上半期の石炭輸出量は前年同期比6.4%減の1億7245万トンだった。

最大の輸出先であるインド向けは19.8%減の4313万トン、中国向けも3.5%減の2932万トンだった。ベトナムなど一部の新興国向けは増えたものの、主要な先進国向けでは日本だけが増えた。

日本向けは前年同期の1045万トンから1111万トンへ6.3%増加した。一方、韓国向けは4.6%減り、台湾向けも前年同期を下回った。

日本政府は第7次エネルギー基本計画で、2040年度の電源構成について、再生可能エネルギーを4~5割程度、火力を3~4割程度とする見通しを示している。鉄鋼業でも大型電炉や水素還元製鉄などの導入を進める。発電・鉄鋼の両分野で脱炭素化を進める一方、2026年上半期には一般炭、原料炭とも輸入量が増加した。

hkyosho@alterna.co.jp

京正裕之 (オルタナ副編集長)

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キーワード: #石炭

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