米国「ESGバックラッシュへのバックラッシュ」とは

記事のポイント


  1. 米国で活発化したESGバックラッシュ(反ESG)の動きに対して、反動が起きている
  2. 裁判所はミズーリ州の反ESG規則を、憲法違反などを理由に却下した
  3. 米企業の多くは「ESG」を使わずにサステナビリティを推進する

米国で政治的な要素と化してきた「ESG」の風向きが変わりつつある。共和党を中心に「反ESG」の動きが広がりつつあったが、ミズーリ州では反ESG規則が、憲法違反などを理由に裁判所に取り消された。「ESG」が揺れ動く中、多くの米企業は「ESG」という用語を使わずに、粛々とサステナビリティの取り組みを進めている。(オルタナ副編集長=北村佳代子)

米国の国旗
ESGに対する「反ESG」が今、反発に遭っている

■ESGに対する反ESGの動き

日本企業が開示資料などで頻繁に使用する「ESG(環境、社会、ガバナンス)」の用語は今、米国企業では積極的に使われていない。

「ESG」は米国で2021年にピークを迎えたが、その後、環境や人権意識に変に目覚めた「ウォーク(目覚めた、の意)」だと揶揄され、批判を浴びるようになったからだ。

共和党が主導する形で「反ESG」の動きが活発化すると、米国のESGを牽引してきた世界最大の運用会社ブラックロック社は、矢面に立たされた。同社CEOは2023年7月、「政治化された『ESG』という用語を使わない」と宣言している。

「ESG」対「反ESG」が、「民主党」対「共和党」といった、政治対立の様相を色濃くする中、米企業の多くは表立って「ESG」を語らなくなった。

米調査会社ファクトセットによると、2021年の決算説明会で「ESG」に言及したS&P500企業は155社あったのに対し、直近(2023年)はわずか29社と、2019年以降、最も少なくなったという。

(ご参考)米「ESG」対「反ESG」論争と大統領選挙の行方(上)(下)

■「反ESG」の潮流が一転、揺り戻しへ
■裁判所はミズーリ州の「反ESG規則」を取り消す
■反ESGに対する反動はテキサス州でも
■反ESG施策でテキサス州は7億ドルの損失を被る
■企業は「ESG」を使わずにサステナビリティに取り組む

有料会員限定コンテンツ

こちらのコンテンツをご覧いただくには

有料会員登録が必要です。

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

執筆記事一覧
キーワード: #ESG

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..