東大が提唱する50代以降の人生設計「ALP」とは何か

記事のポイント


  1. ALP(アドバンス・ライフ・プランニング)は高齢期に向けた人生設計を考える仕組みだ
  2. 東大研究者らは、高齢期のトラブルは複数の分野に連鎖するため備えが重要だと説く
  3. 2028年1月にはALPアドバイザー資格制度を始める構想もある

東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)は、50代以降の人生プランを具体的に考え、高齢期に備えるための仕組み「ALP(アドバンス・ライフ・プランニング)」を提唱している。日本の高齢者人口が増える中、資産や住宅管理など高齢期のトラブルはさまざまだ。ALPはこれらの問題が起きたときに対応できるよう計画を立てておくという考え方になる。2028年には新たにALPアドバイザー資格制度を設けるために検討が進められている。(オルタナ副編集長=京正裕之)

ALPシンポジウム第3回『人生100年時代、あなたはどう生ききりますか?』に登壇した飯島勝矢・高齢社会総合研究機構機構長兼未来ビジョン研究センター教授は「『健幸長寿』といえば聞こえはいいが、理想論で終わらないようにALPを推進したい」と述べた

「最初、ALPと言われても、健康診断の肝臓の数値かと思いました」。9月17日に開かれた「第3回ALPシンポジウム」で、自らの人生後半を描く「マイジャーニーマップ」を作った60代男性はこう話した。まだ社会にはほとんど浸透していない「ALP」の仕組みだが、東京大学高齢社会総合研究機構IOGが中心となり人生100年時代の新たな「備え」の考え方として研究が進んでいる。

さらに今回のシンポジウムでは、ALPを支える専門人材「ALPアドバイザー」の制度構想も初めて具体的に示された。

■人生後半を「何かが起きる前」に考える

ALPとは、自らが将来の人生を主体的に設計するため、資産・住まい・介護などについて、本人と関係者が事前に備えを進めるプロセスを指す。つまり、50代以降の人生を「どう生きたいか」「そのために何を備えるか」を考える取り組みともいえる。

従来、終末期の医療やケアについて本人の意思を確認するACP(アドバンス・ケア・プランニング)という考え方があったが、ACPよりも検討すべき範囲が広い。介護が必要になってから、あるいは認知機能が低下してから対応するのではなく、本人が意思決定できる段階から人生後半の選択肢を考えていくためだ。

IOGなどは、ALPについて専門家へのインタビューや高齢者、介護関係者への調査を重ねてきた。その中で浮かび上がったのが、高齢期の生活課題は一つの分野だけでは解決できないという問題だという。

SOMPOグループのシンクタンク、SOMPOインスティチュート・プラスの成瀬昂・上席研究員は、資産管理、住まい、医療・介護、死後事務などにまたがる14種類の生活トラブルを紹介した。「一つ起これば二つ起こり、二つ起これば四つ起こる」と、問題が連鎖する可能性を指摘する。

高齢期に起きる生活トラブル14種類には、銀行からお金を引き出せないといった「毎日の生活費トラブル」などが含まれる

例えば、要支援・要介護高齢者を対象とした調査では、預金の引き出しでは約3人に1人、介護サービスの契約では約5人に1人が代理人の支援を受けており、その9割以上を家族が担っていた。高齢期の生活は、本人だけで完結せず、家族の支援に大きく依存している実態がうかがえる。
一方、連絡できる親族がいない高齢者は約2割に上り、ケアマネジャーから見ても親族がいるかどうか分からない人も約2割いた。法定後見人がいる人は3.6%、任意後見人がいる人は2.5%にとどまる。

成瀬氏は、家族への依存が大きい一方、その家族に頼れない高齢者も少なくないとして、「何かあれば家族が何とかする」という従来のモデルでは対応できない時代になっていると指摘した。

トラブルのきっかけも、本人の心身機能の低下だけではない。急な入院や転倒、配偶者の死亡、家族関係や生活環境の変化などから、一気に問題が表面化することがあるという。

また、住宅の住み替えや資産管理の方法の変更にも時間はかかる。困った時に相談できる人との関係も急には構築できない。「何かあってから」「もう少し経ってから」では遅いというのが、ALPの基本的な問題意識となる。

■将来への備えをマップで可視化
■「ALPアドバイザー」制度を28年創設へ

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hkyosho@alterna.co.jp

京正裕之 (オルタナ副編集長)

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キーワード: #高齢社会

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