記事のポイント
- 世界最大の化粧品メーカーのロレアルでは、サステナはビジネスそのものだ
- 新製品開発では、環境指数スコアが前の世代を上回っていないと世に出せない
- ロレアル日本法人のサステナビリティ責任者に同社の取り組みを聞いた
世界最大の化粧品メーカーのロレアルグループは、サステナビリティを成長戦略の原動力と位置付け、脱炭素・自然・循環・コミュニティ支援の4本柱で野心的な2030年目標を掲げる。同社日本法人でサステナビリティをリードする楠田倫子氏に話を聞いた。(聞き手=オルタナ輪番編集長・北村佳代子)
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(写真)宮下真季
■楠田倫子(くすだ・ともこ)氏
日本ロレアル コーポレート・レスポンシビリティ本部長・ヴァイスプレジデント
上智大学法学部国際関係法学科卒。米国コロンビア大学経営大学院にてMBA取得。国内金融機関、米系消費財メーカーを経て1999年日本ロレアル入社。シュウウエムラなど様々なブランド統括・事業部長職を歴任後、2020年にバイスプレジテントに就任。2022年9月よりコーポレート・レスポンシビリティ本部長、現在に至る。日本におけるサステナビリティプログラムやCSR 活動を統括するとともに、企業倫理、人権、DE&Iの推進・遂行を担う。日本ロレアル エクゼクティブ コミッティーメンバー。
――ロレアルは10年連続でCDPの「AAA」を取得するなど、世界でもサステナ先進企業として知られています。その中で日本法人はどのような役割を担っていますか。
ロレアルグループは現在、世界150カ国以上で展開し、売上高は約432億ユーロ(約8.2兆円)、約9万5千人の社員が働いています。日本は、米国、中国の次に大きなビューティーマーケットとして、戦略的に非常に重要な市場です。
日本ロレアルは、パリ本社を中心に世界各国を5つのゾーンで分けた、北アジアゾーン(統括本部は上海)に含まれています。販売・マーケティング機能に加え、グローバル組織と紐づいたR&D拠点や製造拠点も日本にあり、カントリーマーケットとしては珍しく重要な機能が集約されています。
■新製品の環境スコアは前の世代より高いものに
――ロレアルのR&D部門が重視する「グリーンサイエンス」について教えてください。科学的な知見を重視する姿勢はどこから来ているのでしょうか。
ロレアルの始まりは、科学者であった創業者がパリの自宅のキッチンで、当時有害なものしかなかったヘアカラーを、無害な処方で作り上げたことでした。それを自転車に積んでパリ市内の美容師さんに売り歩いたのが当社の原点です。
「最新の科学に基づき、消費者に、より良い美の体験をしていただく」という考え方は、創業者から受け継がれた、今も変わらない私たちのDNAです。
ビューティー領域は、ファッション性もある一方で、医薬品に近い「効果効能」が厳密に求められる世界でもあります。しっかりとしたエビデンスに基づいた効果をお届けするためには、科学は切り離せない存在なのです。
「グリーンサイエンス」は、単に自然由来の成分を使うことだけに限りません。自然界にある素材の機能を、科学の力で最大限に引き出し、かつ環境負荷を抑えながら製品化するイノベーションを指します。
日本を含む世界の研究開発拠点で最も重要なルールとなっているのがLCA(ライフサイクルアセスメント)に基づく独自の環境指数評価です。全製品の処方を評価するデータベースがあり、「新製品は前の世代の製品より必ず環境指数のスコアが良いこと」を厳格に定めています。
厳しいハードルですが、これこそが「ビジネスへの実装」です。すべての研究員が「昨日よりも環境負荷の低い製品を出すこと」を自らのミッションとして取り組んでいます。
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(写真)宮下真季
■全社員のボーナスにサステナKPIが連動する
――2020年にサステナビリティのプログラム「ロレアル・フォー・ザ・フューチャー」が始動し、30年に向けて野心的な目標を掲げています。
はい。責任ある気候変動への対応、自然環境や生態系の保護・保全、循環性の促進、コミュニティ支援の4つを柱に、30年までの目標を掲げ、約60のKPIで進捗管理をしています。グローバル目標の達成に向けて、各年度・各国・各部署まで細かく分解された目標が下りてきています。
ロレアルでは、役員クラスだけでなく、一般社員を含めた全社員のボーナスの一部も、このサステナビリティ目標と連動しています。自分の所属組織の目標達成度でボーナス額が決まるため、社員にとっては大きなプレッシャーですが、その分、サステナビリティは自分事になります。
ロレアルの最大の特徴は、サステナビリティの目標をビジネス目標と完全に同等に扱っている点です。例えば、CO2の排出削減一つをとっても、目標達成のために事業自体をどう変えていくか、という意識が非常に強くあります。
すでに、気候変動対応のために20年に掲げた「全世界の事業所と直営店舗で使用する電力を100%再エネにする」というグローバルでの30年目標に関しては、25年に5年前倒しで達成するなど、誇らしい成果も見えてきています。

■不要不急の航空便輸送を徹底して制限する
■日本は「世界最先端のリフィル先進国」
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■「サステナビリティはコストではなくイノベーション」

