記事のポイント
- 前回に続き、オアシス・マネジメントのセス・フィッシャー創業者取材をお届けする
- 自らを「モノ言う株主」「アクティビスト」ではなく、「エンゲージする投資家」と呼ぶ
- 「日本企業に少ないのは『勇気ある取締役』と、独立した取締役会だ」と強調した
前回に続いて、「オアシス・マネジメント」のセス・フィッシャー創業者兼最高投資責任者(CIO)による、オルタナの独占インタビュー。彼は「モノ言う株主」「アクティビスト」の代表格だが、同氏は自らを「受託者責任(スチュワードシップ)と真剣に向き合う投資家」と呼ぶ。「日本企業に必要なのは勇気ある取締役。そして独立した取締役会」と強調したのが印象的だった。(聞き手:オルタナ輪番編集長=吉田広子、北村佳代子)
※本取材は2026年4月7日に実施したものです

■スチュワードシップ責任を果たす長期投資家
――オアシス・マネジメントは、日本では「モノ言う株主」「アクティビスト」として知られています。改めてお聞きしますが、何を目指していますか。
私たちは、徹底的な調査に基づいたファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)重視の長期投資家です。
ビジネスの収益性が高まれば、従業員の報酬が増え、雇用の安定性向上にもつながります。長期的な価値創造は、経営陣により良いインセンティブとなるでしょう。より良い製品をより安い価格で手に入れられるようになれば、お客様も喜びますし、健全に顧客基盤が拡大すれば、サプライヤーもその恩恵を受けます。
私たちは、これまで多くの日本企業のCEOと非常に良好な関係を築いてきました。公の場ではなく、水面下で(非公開の場)で、経営陣と協働することを重視しています。エンゲージメントの約85〜90%は、非公開で行われています。
私たちは、提案した事実が公になることを、特に求めていません。投資先の企業がより良くなることを望み、企業が最善を尽くして業績を向上させることで、リターンを得ています。売上高、利益率、収益、従業員の生活水準、そしてすべてのステークホルダーとの関係の改善について、賞賛されるべきは、経営陣です。
「モノ言う株主」「アクティビスト」など、どのように呼称されても構いませんが、私は「エンゲージド・インベスター(関与型投資家)」という表現を好みます。
つまり、株主としての責任を真剣に受け止め、取締役にも同じように真剣に受け止めてほしいと積極的に関与します。私たちはスチュワードシップ責任を果たしているだけです。
しかし、あくまで長期投資家であることに変わりはありません。
――投資先の選定には、バリュエーション(企業価値評価)が割安であること以外に、どのような要素を重視しますか。どのような企業が投資対象候補となるのでしょうか。
最も重要なのは、潜在的に持っている価値に対して「割安」、すなわち適正な評価を受けていない企業を見つけることです。ここでいう「割安」とは、私たちが支援することで、その企業が潜在能力を発揮できるようになる、という意味です。
その潜在能力とは、IP(知的財産)を収益化することで利益率を高められるケースもあるでしょうし、海外に市場を拡大する場合や、事業計画・事業戦略の変更を伴う場合もあるでしょう。
企業が、収益性を今よりはるかに高めていくためには、実現可能で、真剣かつ重要な変革・改善点を見つけ出し、その可能性を引き出して達成できるよう支援していく必要があります。私たちは、そのために企業と協力したいと考えています。
(この続きは)
■ESGは中長期の企業価値を大きく高める
■元サプライヤーや元従業員にもヒアリング
■必要なのは「勇気ある取締役」、友人ではいけない
■中東情勢が緊迫化しても強気の姿勢変わらず
■グローバルな先進企業はNGOの情報を重視
■日本企業への投資は増やすべき
■経営陣の責任を明確に、改革のスピード上げる

