残業の上限見直し労働時間規制緩和に6割賛成でも「もっと働きたい人」は1割

記事のポイント


  1. 民間調査で、「労働時間規制緩和の検討指示」を約6割が肯定的に評価した
  2. 一方、労働時間の増加を望む人は約1割で、多くは現状維持か減少を望んだ
  3. 規制緩和が機能するためには、心身の健康維持と自由な選択の担保が不可欠だ

総合転職サイト「エン転職」はこのほど、「労働時間規制緩和・残業」に関する調査を実施した。その結果、約6割が規制緩和を肯定的に評価した。一方で、実際に労働時間を増やしたいと回答した人は約1割にとどまり、多くは現状維持や減少を望んでいることが分かった。規制緩和が機能するためには、個人が心身の健康を守りつつ、自らの意思で働き方を選べる環境を整えることが不可欠だ。(オルタナ編集部=川原莉奈)

「労働時間規制緩和の検討指示」に対して約6割が肯定的に評価した

2026年には、約40年ぶりとなる労働基準法の大改正が予定されていた。しかし、高市早苗首相が「心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討」を指示したことを背景に、25年末、2026年通常国会への法案提出は見送られた。

労働時間規制の緩和とは、現行の残業上限(原則月45時間・年360時間)や、裁量労働制などの適用範囲を見直す動きだ。

こうした方針を受け、働き手はどう感じているのか。民間企業による調査でその本音が明らかになった。

労働時間規制緩和に対する印象については、57%が「良いと思う」(「とても良いと思う」18%、「良いと思う」39%)と肯定的に評価した。

「労働時間規制緩和の検討指示」に対して「良いと思う」理由

理由としては、「労働時間の希望を実現しやすくなるから」(57%)、「収入の増加が目指せるから」(53%)が上位を占め、柔軟な働き方や報酬増への期待がうかがえる。

一方、正社員(フルタイム勤務)を対象とした設問で、実際に労働時間を増やしたいと回答した人は13%にとどまった。「現状維持をしたい」(47%)が約半数を占め、「減らしたい」(38%)と回答した人も多かった。

労働時間の増加を望む人は約1割で、多くは現状維持か減少を望んだ

さらに、規制緩和を「良いと思わない」(27%)と回答した層からは、懸念の声も聞かれる。その理由として最も多かったのは「健康・身体への影響への懸念」(38%)で、次いで「意図しない労働時間増加への懸念」(34%)が続いた。

「労働時間規制緩和の検討指示」に対して「良いと思わない」理由

規制緩和を単なる長時間労働につなげないためには、個人の心身の健康への配慮と、本人の自由な意思に基づく選択が前提となる。働く人の意欲を尊重し、その成果が報酬や成長として還元される仕組みづくりが重要だ。

【調査概要】
・調査方法:インターネットによるアンケート
・調査対象:『エン転職』(https://employment.en-japan.com/)を利用するユーザー
・調査期間:2025年12月1日~2026年1月5日
・有効回答数:1,756名

kawahara

川原莉奈 (オルタナ編集部)

早稲田大学理工学部卒業後、大手自動車関連メーカーで7年間勤務。その後、「全く異なる世界を見てみたい」との思いからフリーランスに転身。ファッション・ライフスタイル系のWebメディアでデスク、エディター、ライターを務める。2023年からは、並行してNPO法人にてWebデザインや広報を担当し、社会課題への関心を深める。ライターとしてのモットーは「複雑なテーマを整理し、シンプルに伝えること」。

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