コンセプト×ハード×ソフトで魅力的なCSR 戦略を【戦略経営としてのCSR】

一例をあげるなら、三菱地所は、通勤前の朝の時間を有効活用しようというコンセプトのもと、ハードとして、同社が所有している会議室を早朝の時間帯に無償でNPO に貸出し、ソフトとしての「丸の内朝大学」を支援して、大変な人気を得ている。丸の内界隈がビジネスマンだけではなく、多様な人々が集う場所となり、結果として丸の内の集客力を高め同社の企業価値を高めた。しかし、人気にあやかり夜も大学を開校しようとすると、そもそものコンセプトが崩れ、朝大学自体の魅力を損ね、集客を減らしかねない。

では、コンセプトはどのようにつくるのか。ソフト・アイデアが、具体的な企画や仕掛けであるのに対してコンセプトとは、取り組む哲学や意義づけ、本質的なものを指す。CSR 戦略におけるコンセプトとは、単なる経営理念ではなく、CSR に取り組んでいく基本的な構想やテーマを示すことだ。

具体的には、創業理念や経営理念から導き出されるものであり、シンプルに記され、かつ、未来とのかかわりを示し、さらに、実際の取り組みが明示されていることが望まれる。このようにまずコンセプトを確立することで、CSR への取り組みについて従業員を含むすべてのステークホルダーに一貫した、明確なメッセージを伝えられるようになり、ブランドとして定着し、企業価値に繋がっていく。

例えば、キリングループが震災復興支援プロジェクトとして取り組んでいる「絆プロジェクト」もその一つだ。同社の創業理念でもある「絆」をコンセプトに、シンプルかつ未来に向けた前向きなメッセージを明示している。具体的な貢献策も、コンセプトを活かすために拠出金を活用するという一貫した取り組みを行っており、同社の企業価値を高めている。

【おおくぼ・かずたか】新日本有限責任監査法人シニアパートナー(公認会計士)。新日本サステナビリティ株式会社常務取締役。慶応義塾大学法学部卒業。教員の資質向上・教育制度あり方検討会議委員(長野県)。大阪府特別参与。京丹後市専門委員(政策企画委員)。福澤諭吉記念文明塾アドバイザー(慶應義塾大学)。公的研究費の適正な管理・監査に関する有識者会議委員。京都大学・早稲田大学等の非常勤講師。公共サービス改革分科会委員(内閣府)ほか。

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第7号(2013年4月5日発行)」から転載しました)

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2014年7月24日(木)9:56

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