[映画評:バベルの学校]違いを受け入れる辛抱強さと決意

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移民を多く受け入れているフランス。文化や宗教の違いを包摂するため、教育の場でも大きな努力が払われている。多様な国々からやってきた子どもたちが、同じ教室で学ぶ様子を記録したドキュメンタリー映画「バベルの学校」(ジュリー・ベルトゥチェリ監督、2013年フランス、89分)が明日31日から公開される。(オルタナ編集委員=斉藤円華)

映画「バベルの学校」から (c)pyramidefilms

映画「バベルの学校」から (c)pyramidefilms

フランスに移住してきた子どもたちは、フランス語を集中して学ぶため、学校の「適応クラス」に入る。作品の舞台はパリ市内の中学校。11才から15才まで、20の国から24人が集まっている。

貧困からの脱出、音楽留学、親の仕事等々、この国にやってきた理由は様々だ。人種も宗教も生活習慣もバラバラで、授業の討論では意見が対立。環境が大きく変わったことで、クラスになじめない子もいる。

そんな状態からのスタートだが、教師の辛抱強い仕事に目を見張る。生徒や親の訴えに耳を傾けた上で、本人が最善の選択を行えるよう導いていく。「こういう先生に教わりたかった」と思わせるような人間力を備えているのだ。1年かけて、子どもやクラスの雰囲気がどう変わっていくのかが、作品の見どころである。

長く移民を受け入れているフランスだが、近年は高い失業率などを背景に、移民排斥を訴えて極右政党が伸長。世界を震撼させた、先日の仏紙襲撃事件の犯人は移民2世と伝えられる。移民を受け入れてきた「自由・平等・友愛」の理念が今、揺さぶられているようにも見える。

社会で亀裂が深まれば、国家の存立そのものが脅かされる。違いを認めるためにこそ、自由・平等・友愛の理念は絶対に守る。そんなフランスの覚悟を感じさせる作品だ。

映画「バベルの学校」公式サイト

2015年1月30日(金)11:30

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