インド・ウェイとインフォシス【世界を変えるCSV 戦略】

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水上 武彦(株式会社クレアン)

インドは、世界で唯一CSRを法制化している国です。企業に対し、CSR 委員会の設置、CSR 方針の策定、CSR 活動のモニタリング、そして、CSR 活動に利益の2% を利用することを、法律で義務付けています。

インドがCSRを法制化できた背景には、「株主よりも広義のステークホルダーを重視し、株主価値よりも社会価値に重きを置いている」というインド企業の特徴があると思います。こうした他国企業とは異なるインド企業の特徴は、「インド・ウェイ」と呼ばれ、以下の4つの原則から成ります。

第1の原則:「従業員とのホリスティック・エンゲージメント」
インド企業は、ビジネスとインド全体の競争力の源泉が人材に大きく依存していると考え、人材マネジメントを重視しています。また、強い組織能力を構築するため、目的と価値観を共有し、従業員と企業の一体感を生み出しています。

第2の原則:「ジュガードの精神-即興力と適応力」
ジュガードとは、「適応」や「応急処置」といった意味合いです。米国などの経営者が「戦略の着実な実行」を重視するのに対し、インドの経営者は、「変化に対するスピード、柔軟性、適応力」を重視します。

これは、インドのビジネス環境が劣悪で、インフラ不足や不確実さなどのため、頻繁に予期しなかった状況に対処しなければならないといった理由によるものですが、結果として、インドのビジネスリーダーは、不確実性に対処する極めて高い能力を有しています。

第3の原則:「創造的な価値提案」
インド市場は急速に変化しており、顧客は、価値意識は高いが資力に乏しいという環境にあります。こうした市場では、何が成功するかを予測することは難しいため、インド企業は、意思決定を分散化しつつ、「たくさん試みて早く失敗する」ことを繰り返して、創造的な提案を見出します。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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