水上 武彦(株式会社クレアン)
私もCSV(クリエーティング・シェアード・バリュー)について5 年以上考えてきていますが、海外においてもCSV は、10 年以上かけて進化しています。
CSV と言えば、マイケル・ポーターとマーク・クラマーのコンビが元祖ですが、2 人の共著によるCSV 関連論文としては、2002 年の「競争優位のフィランソロピー」、2006 年の「競争優位のCSR 戦略」、2011 年の「共通価値の戦略(CSV)」がそれぞれハーバード・ビジネス・レビュー誌に掲載されていて、CSV の3 部作と言えます。
タイトルも「フィランソロピー」→「CSR」→「CSV」と変化しているのですが、内容も「(1)クラスター/競争基盤のCSV」→「(1)+(2)バリューチェーンのCSV」→「(1)+(2)+製品・サービスのCSV」と進化しています。
最初の「競争優位のフィランソロピー」では、企業の社会貢献活動は、もっと戦略的コンテクストを重視して実施することが可能であるとし、ポーターのダイヤモンド・モデルを応用して、自社事業に価値を生み出す戦略的社会貢献活動の考え方を提示しています。
そして、シスコ・ネットワーキングアカデミーといった自社事業に必要な人材を育成する社会貢献活動などを紹介しています。これは、CSVの3つのアプローチで言えば「クラスター/競争基盤のCSV」に該当します。