世界のヴェレダが日本人の肌に挑んだ理由――ヴェレダ・ジャパン代表取締役社長三輪恵美子さん インタビュー

このエントリーをはてなブックマークに追加

聞き手; 佐久間 成美

1922年、人智学にもとづく自然薬を製造する会社としてスイスで誕生した「ヴェレダ」。ルドルフ・シュタイナーが提唱し、地球と植物のリズムを考えて栽培するという「バイオダイナミック有機栽培農法」、原料のフェアトレードなど多くのこだわりを持ち、世界50カ国以上で親しまれる老舗のオーガニック化粧品ブランドだ。そのヴェレダが今年10月、日欧共同で開発した日本人女性の肌のための保湿化粧水2点を発売した。欧州には存在しない保湿用化粧水を日本であえて発売するという、異例の戦略の背景を聞いた。

「ワイルドローズ モイスチャーローション」(100ml、4410円)と「アイリス モイスチャーローション」(100ml、3360円)

ヴェレダがこのほど発売したのは、「ワイルドローズ モイスチャーローション」(100ml、4410円)と「アイリス モイ スチャーローション」(100ml、3360円)。いずれもスイスのヴェレダ本社と日本のヴェレダ・ジャパンが3年かけて共同開発した。乾燥しがちな日本 人の肌を活性化させるバイオダイナミック有機栽培農法のワイルドローズの葉のエキス、肌の水分保持に優れたアイリスの根のエキスをそれぞれ配合した。

――日本人向けの保湿用化粧品が生まれた経緯を教えてください。

三輪氏写真

90年代から顧客から「保湿用化粧水はないの?」という問い合わせを多く頂いていました。しかし、欧州では保湿 用の化粧水という商品カテゴリーが存在せず、スイス本社もそのころは日本の消費者の声に耳を傾ける体制ではありませんでした。
とはいえ、既存のヴェレダのスキンケアシステムではフォローできない違いを日本の顧客に実感してほしいとの判断があり、04年のヴェレダ・ジャパン設立当 初から日本人向け製品の開発を始めました。
ヴェレダのマーケティング戦略も、以前のスイス・ドイツ中心から、世界的規模のものに移行しつつあり、その中で日本はアジアを代表とする存在で す。日本の顧客の化粧品に対する鋭い着眼点が評価され、その価値を本社が理解したのだと思います。

――3年を費やしたという共同開発はどのように進めたのですか。

ヴェレダグループの化粧品研究開発者が、野中潤一博士という日本 人だったことが大きいです。彼は84年、ドイツ・ヴェレダ社に入社し、現在はヴェレダグループ化粧品研究開発コーディネーターを務めています。
彼 が当初からヴェレダ・ジャパンを支援してくれたことも大きいですし、日本の開発スタッフも貢献してくれました。ヴェレダ本社の素材に対するこだわりと、日 本の開発者の繊細さがあいまって、大胆であり、かつ繊細な製品になりました。
クレンジングやクリームはメーカーによって個性を出しやすいアイテムだと思いますが、化粧水に関してはさほど違いがありません。だからこそ、化粧水は一 番、他ブランドと比較しやすいアイテムなのです。
この製品は、開発途中で相当良いものにはなったのですが、スキンケアの「軸」となる製品にした かったため、さらに改良を重ね、発売を1年半延期しました。  ヴェレダの取扱商品はスキンケア、ボディケア、ベビーケアなど多岐にわたります。04年に発売された「ホワイトバーチ ボディシェイプオイル」がヒットし、ヴェレダのボディケアアイテムは信頼して使って頂いても、スキンケアに関しては「自然のものでは足りないのではない か」と感じている方もいます 。
いままでのスキンケアのシステムの流れを崩すことなく、足りなかった部分を新しい保湿化粧水で補うことで、ヴェレダのスキンケアのよさを知って いただきたいと思います。スキンケアが軸となって他のものへ波及させていくようにしたいですね。

――今後の販売目標を教えてください。

売り上げ目標数値は企業秘密ですが、スキンケア製品全体で前年比150%アップを目指して います。顧客の肌のことを考え、積極的に提案することが販売増につながるくと考えていますので、スタッフには「売る」のではなく、常に「提案する」ことを 心がけてもらっています。

――日本では30年前からヴェレダを紹介してきたそうですが、その経緯を教えてください。

食品添加物が問題視される中で、弊社の 創始者が「食べられるほどの素材とクオリティ」にこだわった自然派化粧品ブランドを輸入販売する会社として、74年に株式会社ナチュラルコスメチックス (現・株式会社ネイチャーズウェイ)を設立しました。ヴェレダを扱いはじめたのは1976年です。
石けんから取り扱い始め、徐々に商品数が増えていきました。当時はブランドのコンセプトに合った販売店が少なかったので、正しく説明できる訪問販売が中心 でした。取扱ブランドの中でも、ヴェレダは可能性のあるブランドでしたので、ヴェレダの輸入販売に特化した100%子会社である株式会社ナトゥールトレー ディングを99年に設立し、その後、2005年に社名を株式会社ヴェレダ・ジャパンに変更しました。
弊社ではさまざまなブランドを扱ってきましたが、ヴェレダほど自然へのこだわりが強いブランドはありません。ヴェレダは薬品メーカーとしてヨーロッパで 80年以上の歴史がありますが、日本市場の当初の反応は鈍かったです。
現在はヴェレダの顔として受け入れられている、植物の強さを表現したカラフルなパッケージも「変なパッケージ」と言われました(笑)。最大の特徴である 「バイオダイナミック有機栽培農法」について知る人はほとんどいませんでしたね。

――市場の変化が起こったのはいつ頃ですか?

ブランドの価値を知ってもらい、お客様にヴェレダの良さを体感して頂く場所として、 2000年に世界初の専門店のフラッグシップショップ「ヴェレダ ナチュラルケア スタジオ」を吉祥寺(東京都武蔵野市)にオープンしました。
専門店は世界でも前例がなかったのですが、実績を出すことで本国にも認められるようになりました。02年には表参道店をオープンし、その頃からようやく知 名度も上がってきたことを実感しました。昨年パリにヨーロッパ初の専門店が生まれたのも、日本で直営店が成功したからこそで、とても誇りに思っています。

三輪恵美子
1963年、三重県四日市市生まれ。91年、株式会社ネイチャーズウェイ(当時の社名は株式会社N.C.インターナショナル)入社。99 年、株式会社ナトゥールトレーディング設立時に取締役に就任。2005年1月、同社を株式会社ヴェレダ・ジャパンに社名変更。05年8月ヴェレダ・ジャパ ン代表取締役社長就任。英国ITEC認定アロマセラピストの資格を持つ。

2007年11月30日(金)19:47

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑