岩手「龍泉洞の化粧水」が誕生、地域資源の生かし方

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新規事業開発に際し、既存アセット(資産)を有効活用するケースはよくある。今春新たに誕生した、岩手県岩泉町の持株会社「岩泉ホールディングス」。新規事業開発にあたり、事業会社である岩泉乳業と岩泉産業開発が、化粧品開発で既にビジネスモデルを持つ日本ゼトックとタッグを組むことで、自社のアセットを活用し、1年足らずという短期間で「ミネラル天然水から生まれた龍泉洞の化粧水」を開発、販売を開始した。復興支援という言葉にとらわれない、新たな協業スタイルと言える。(一般社団法人RCF=荒井美穂子)

工場まつりでは、日本ゼトック社員も青いポロシャツを着て販売をサポート

地域イベントでの販売の様子

■3社で6次産業化目指す

3社は、岩手県の復興支援事業「いわて三陸 復興のかけ橋」を通じ、互いの優位性をコラボレーションすることによって、商品開発に至った。

岩泉乳業は岩泉町内の酪農家と共に6次産業化を目指し設立された。2008年には主力製品を牛乳から発酵乳にシフトするなど、社内改革を推進。現在の主力商品である「岩泉ヨーグルト」を市場に送り出した。地元の高品質原料乳の素材を活かし「低温長時間発酵」製法とアルミ袋の中で発酵させる「後発酵」製法を取り入れ、原料から製造方法までとことんこだわりぬいて作ったヨーグルトは、岩手県内の多数のホテルで朝食ビュッフェに使用されており、また通信販売で全国の消費者にも愛されている。

岩泉産業開発は、1985年に町内のシンボルであり、日本三大鍾乳洞の一つである龍泉洞の地下水を商品化し「龍泉洞の水」として全国に売り出した。「龍泉洞の水」は1999年から「モンドセレクション」3年連続金賞以上を受賞し、2001年に「世界最高品質賞」の栄冠に輝くなど、品質の高さで知られているが、近年では競合するミネラル水が全国各地から売り出されていることもあり、販売初期に比較して売り上げは下がっており、ブランド力の向上が課題となっていた。

東京・中央区本社の口腔ケア商品・化粧品メーカーで、OEM製品及び自社ブランド販売に関して実績を持つ日本ゼトック。現在、50年の歴史が裏付ける技術力で、地域特有の素材を原料とした化粧品を製造し、素材の里である地元企業が販売することにより地域活性化へとつなげるプロジェクトを推進している。

既に東北復興応援として福島県の老舗酒蔵との共同開発で作った、日本酒由来の化粧水がヒット商品となった実績があるが、その販路も、日頃から酒蔵が酒を卸している地元の酒店から広がっていった。

岩泉側は龍泉洞の水というアセットはあるものの、商品化するまでのプロセスをどのように進めていくのか、人的資源も含め「化粧品」という経験の無い分野で、開発におけるイニシャルコストを日本ゼトックが負担しても不安があった。他方、日本ゼトック社は、前述の通り福島での経験でビジネスとして成り立つことが分かっていた。

ただし、開発後の成功を左右するのは、確実に販売する経路があるかないか。岩泉乳業の持つヨーグルトを介したホテルとのネットワークや岩泉産業開発の既存商品の販売網が鍵を握る。

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一般社団法人 RCF
2011年4月、震災復興のための調査を行う団体として発足。現在は復興事業の立案・関係者間の調整を担う「復興コーディネーター」集団として活動。代表理事は藤沢烈。活動例として、2015年度はいわて未来づくり機構を母体とする「いわて三陸 復興のかけ橋プロジェクト」を岩手県より受託し、岩手県内各地と県外企業・団体の復興支援マッチングを推進している。

2016年8月3日(水)18:05

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