農福連携で収入向上など、障がい者の働き方改善へ

エフピコダックスの且田久美さん(左)は「障がい者だからこそできることを追求したかった」と話した (3月24日、農林水産省講堂にて)

農業の人材不足の課題を解決しながら障がい者の働き方改善につなげる「農福連携」の動きが全国に広がっている。農福連携の現状や課題を議論する「農福連携推進フォーラム」(主催:農林水産省・厚生労働省)が24日開かれた。障がい者の収入や働く場の拡大が期待される中、農業側の理解不足や賃金向上の仕組み作りの課題も浮き彫りになった。(辻 陽一郎)

厚生労働省によると、障害者手帳を持つ全国の障がい者は約860万人いる。その内、就労しているのは、一般就労者が約63万人、就労継続支援A型は約3万人、B型は約17万人だ。就業先がないため、働きたくても働くことができない障がい者もいる。さらに就労する障がい者も収入面で課題を抱える。就労継続支援A型事業所では、月額の平均工賃が約6万9000円で、生活していくには厳しい金額だ。

一方、農業分野では従事者不足が深刻な課題だ。農林水産省によると、基幹的農業従事者数は174万人、平均年齢は66.5歳と高齢化が進む。耕作放棄地は20年前の2倍近くに増加し、2015年は42.4万ヘクタールと富山県と同程度の面積となった。

障がい者の雇用と農業人材不足を解決する「農福連携」に昨今、企業が進出する取り組みが増加している。

特例子会社で農福連携

企業の農福連携の一つの形が特例子会社だ。2015年時点で422社ある特例子会社の内、農業分野に進出している会社は少なくとも32社ある。

先駆けとして成功したのは、文房具メーカーのコクヨが設立した特例子会社ハートランドだ。2006年に設立。同社の社員は知的障がい者と精神障がい者の8名(2015年時点)が、サラダほうれん草を作っている。機械作業などの高度な作業も障がい者だけで行うことで、最低賃金以上を出すことができているという。

会社としても経常収支で黒字を達成し、6次産業化などの事業展開に取り組んでいる。障がい者福祉施設から毎週100人ほどを受け入れ、障がい者の雇用創出に貢献する。

企業が障がい者福祉施設に出資

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #CSR

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