日経SDGsフォーラム「進化するESG投資~「環境」の観点から~」が、11月5日都内で開かれた。内容を報告する。(室井孝之=オルタナ総研スペシャリスト)
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)高橋則広理事長は、「ユニバース・オーナー(広範な資産を持つ資金規模の大きい投資家)かつ超長期投資家(100年後を視野に入れた年金財政の一翼を担う)であるGPIFにとって、ESGの考慮は、負の外部性(環境・社会問題など)を最小化し、市場全体の持続的かつ安定的(サステナブル)な成長に不可欠である」と宣言。
続けて、「環境問題について、S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数(国内株)とS&Pグローバル大中型株カーボン・エフィシェント指数(外国株)を9月に選定し、約1.2兆円の運用資産でパッシブ運用を開始した」と述べた。
この指数は、環境評価のパイオニア的存在である英・Trucost社による炭素排出量データをもとに、世界最大級の独立系指数会社であるS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが構築した。
同業種内で炭素効率性が高い企業、温室効果ガス排出に関する情報開示を行っている企業の投資ウエイトを高めている。
日本企業の温室効果ガス排出情報開示は、Trucost社によると約60%であり、英国99%、フランス94%、ドイツ84%、米国67%に比べ、先進国で最低水準に留まっている。