問題解決の「型」を学び、さらなる発展を

――第4期「トヨタNPOカレッジ カイケツ」

トヨタ財団は11月29日、トヨタ自動車の問題解決手法をNPO向けに伝える第4期「トヨタNPOカレッジ カイケツ」の成果報告会をトヨタ自動車東京本社で開催した。NPOの代表者は、それぞれのテーマに対する「問題解決」のステップを「A3資料1枚」にまとめて発表した。(編集委員・高馬卓史)

修了証を掲げる第4期「トヨタNPOカレッジ カイケツ」受講生と講師ら

トヨタ財団は、NPOに問題解決力を身に付けてもらうことを目的に、2016年から「トヨタNPOカレッジ カイケツ」を実施している。今期は20団体が参加。それぞれ掲げたテーマに対し、約7カ月間をかけてトヨタ式「問題解決」を実践した。

カイケツでは、「テーマ選定」「現状把握」「目標設定」「要因分析」「対策立案・実施および効果の確認」「標準化と総合評価」「振り返りおよび今後の進め方」いう一連のステップをA3用紙1枚にまとめていく。

成果発表会では、AからDの4つに分かれたグループ内での発表後、グループごとに代表を選出し、全体発表を行った。

代表には、一般社団法人エル・システマジャパンの加藤カヨさん(Aグループ)、Connections for childrenの水木千代美さん(Bグループ)、NPO法人ICYEジャパンの又吉莉奈さん(Cグループ)、小豆島中央病院豊島巡回診療所の小澤詠子さん(Dグループ)が選ばれた。

「ガントチャート」作成で計画の可視化を図る

エル・システマジャパンは、どんな子どもでも無償で参加できる音楽事業を展開しているが、テーマは、「音楽祭における準備日程遅れと抜け洩れの解消」だ。

まず、過去の実績を洗い出し、それに対して、本当はいつやっておかなければならなかったのかをガントチャート(作業計画の可視化に用いられる棒グラフ)にまとめた。加藤カヨさんは「ガントチャートによって、担当者レベルで曖昧だったことを全体で具体的に共有することができたことが一番大きかった」と語る。

Aグループ(鈴木直人講師)

Connection for childrenのテーマは、「子どもが主役の地域の居場所を作る。子どもが主体的に進路選択ができる情報提供やプログラム開発を行う」ことだ。

目標設定では、まず中学2年生の時に、自分で納得した進路選びができ、選んだ理由を言葉にできる状況にもっていくことなどを2021年3月末までの目標にした。
標準化と総合評価において、水木千代美さんは「標準化できるとすれば、学校の先生の研修プログラムではないかと思っている」と語る。

Bグループ(古谷健夫講師)

枠組みを知っただけでも大きな第一歩

NPO法人ICYEジャパンは、世界43カ国で青年国際ボランティア生の交換を行っているが、テーマを「業務を標準化し、新しいことに取り組める時間を創出する」に設定した。又吉莉奈さんは「ICYEは、今、私一人で事務局をやっているので、全てが我流になっている」と語る。

そこで目標を設定したのが、来年の夏までに短期派遣の個別対応を標準化によって対応時間を30%減、広報関連などの問合せ対応時間を50%減、その削減できた時間を連盟関連業務、法人関連業務にあてることを目標設定にした。

対策としては、スケジュール管理では、マニュアルを作る、年間の計画を作成して、みんなが見通しをもって関われるようにした。総合評価では、又吉さんは「こういった方法で考えることがなかったので、この枠組みや仕組みを知っただけでも自分の中では大きな第一歩」と語る。

Cグループ(細見純子講師)

小豆島中央病院豊島巡回診療所のテーマは「老人福祉施設長の管理業務の充実」だ。本来、施設長が管理業務に充てるべき、月180時間の中から厨房に入っている50時間を取り戻すという内容だ。

要因分析では、施設長が忙しすぎて、職員全体会議が未開催になっていた結果、新事業でも、進捗が分からないので、他のスタッフが前向きにコミットしようがないという状況など、様々な要因が判明してきた。

そこで対策・立案として、状況の共有不足の解消。施設長はせめて半日は姿を見せる。まずは全体会議を開く。分かりやすい資料を作成する。また、作業を標準化することとした。

Dグループ(中野昭男講師)

継続は力なり、息長く取組むことが大切

4名の発表の後、古谷健夫・中部品質管理協会企画委員長が講評した。

まず、エル・システマジャパンには、「ガントチャートを作成して、見える化したことをぜひ定着させてください」とガントチャートの定着を勧めた。

Connections for childrenには、「なぜ大きな社会課題に取り組むことができたかというと、目標設定を明確に掲げた点」と、その目標設定を高く評価した。

ICYEには、「事務局を一人でこなしているなかで、標準化したいということですが、ぜひ、仲間を増やしていく方向で頑張っていただきたい」と励ました。

小豆島中央病院豊島巡回診療所には、「要因分析が素晴らしかった。その要因分析を多くの職員で共有してほしい」と要因分析を高く評価した。

そして、「皆さんにお教えしたのは、あくまでも問題解決の「型」ですから、これから先は、皆さんのやり方をどんどん上乗せしていって下さい」と講評を結んだ。

最後にトヨタ財団の小平信因会長が、「問題の解決には、直面している問題が何であるかという本質をよくみることが大事。継続は力なりで、息長く取り組むことが大切です」と締めくくった。

「問題解決の「型」に皆さんで上乗せしていってほしい」と力を込める古谷講師

2019年12月5日(木)14:20

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