中国イカ釣り船による違反操業の実態明らかに(下)

井田 徹治
共同通信社

今回、「グローバル・フィッシング・ウォッチ」と「アウトロー・オーシャン・プロジェクト」が「違法・無報告・無規制(IUU)」漁業」の実態をまとめた。スルメイカ資源の減少とともに減る傾向にはあるものの、毎年日本には中国からのスルメイカが大量に輸入されているのだから、北朝鮮の領海内でのIUUスルメイカが日本人の胃袋に収まっている可能性は極めて高い。(共同通信編集委員/オルタナ論説委員・井田徹治)

■北朝鮮が制裁に違反して中国に漁業権を売却か

カナダ・ブリティッシュコロンビア大などの研究チームは、2015年に日本が輸入したメバチマグロやウナギ、サケ、イカなど主要27品目の天然水産物のうち3割程度がIUU水産物だったとの調査結果を発表しており、日本人もかなりの量のIUUシーフードを食べていることになる。

また、GFWなどのグループは北朝鮮領海内での中国漁船の盛んな活動が、北朝鮮のものとみられる木造船の漂着が日本沿岸で相次いでいることと関連している可能性を指摘する。

海上保安庁によると、近年、北海道や本州の日本海側に多くの北朝鮮漁船とみられる木造船が漂着。2017年に104件、18年に225件、19年に158件が確認された。船内から遺体が見つかることも多く、17~19年の間に54もの遺体が見つかっている。

今回の研究報告に関わった韓国海洋水産開発研究院のリー・ジュンサム研究員は「漂着船が増えているのは、中国漁船に漁場を奪われ、遠隔地で無理な操業をしている北朝鮮漁船が暴風で壊れたり、エンジンに不調が発生したりした結果、海流に流されて日本の西岸にたどり着いた結果ではないか」とみている。

FAOは「IUUは減少が著しい世界の漁業資源の状況をさらに悪化させるだけでなく、規制を守って操業している漁業者の収入を奪う結果にもなっている」と指摘するが、これは今回のスルメイカの例にも当てはまる。

■日本でのスルメイカ漁獲量24万トンが4万トンに

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井田 徹治
共同通信社
記者(共同通信社)。1959年、東京生まれ。東京 大学文学部卒。現在、共同通信社編集委員兼論説委員。環境と開発、エネルギーな どの問題を長く取材。著書に『ウナギ 地球 環境を語る魚』(岩波新書)など。2020年8月からオルタナ論説委員。

2020年8月4日(火)7:10

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