玄米毒? 水に一昼夜浸せば無害に

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芽を出したイネの種子(もみ)

玄米には、発芽や細胞分裂を抑える物質が含まれる。この物質が体調不良を招く場合があり、一部では「玄米毒」とも呼ばれる。その害を防ぐには、十分に水に浸せばよいという。

玄米や雑穀の普及を図るNPO法人グレインズ・イニシアティブの山本朝子代表は「健康のための玄米食で、かえって調子が悪くなる人がいる。しかし、米の選び方や浸水に気を付けるだけで改善できる可能性がある」と言う。

イネの種子(もみ)から殻を取り除いたのが玄米だ。精白米と違って栄養価の高い外皮と胚芽が残っている。しかし、その部位にはアブシジン酸やフィチン酸なども含まれる。発芽までの間、種を守る物質である。

同NPOは、アブシジン酸がヒトの細胞内のミトコンドリアに損傷を与えるという研究報告を知り、その影響を懸念している。またフィチン酸については、金属と結び付く「キレート作用」が解毒に役立つ一方で、ミネラルをつかんで離さず栄養吸収を妨げていると考えている。

そして、この両者を十分な浸水で無害化することを勧める。玄米に水が入ると、発芽に向けて化学反応が進む。その過程でフィチン酸はつかんでいたミネラルを離し、フィチン酸とミネラルが、それぞれ有用な成分として、体に取り入れられるようになるという。

まず発芽能力が失われていない天日干しの玄米を用意する。次に、一晩から一昼夜(約12~24時間)じっくりと浸水させる。急ぐ時は約40℃以下の湯を使っても良い。そして、飽和吸水率に達した玄米を家庭にある土鍋や炊飯器で炊く。誰にでもできるシンプルな方法だ。

玄米の中で発芽抑制が解除され、さまざまな酵素が活発に働き始めていることが重要だという。手間を惜しまず浸水した玄米では、米アレルギーのアレルゲンが低減し、ギャバ(GABA)と呼ばれるガンマーアミノ酪酸が増加するという。それを新鮮なうちに炊き上げて、おいしくいただく。

アブシジン酸については、新潟大学で免疫学を研究している安保徹教授も「確かに、この物質に過敏な人がいる」と認めている。しかし、発芽前の玄米の「害」については、科学的な立証や一般的な認知が進んでいない。公的機関からガイドラインなどが出された事実もない。

食との付き合い方は体質、年齢、体調などによっても異なり、玄米の食べ方についても諸説あるというのが現状だ。日本古来の主食である米や穀物の活用が広がり、食料自給率が上がる可能性にこそ、期待したい。(オルタナ編集部=瀬戸内千代)2011年2月4日

2011年2月7日(月)9:21

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