記事のポイント
- 人々の関心はモノよりもコト(サービス)に移っている
- 「作っては壊し作っては壊し」で豊かになれる時代は終わった
- これからのモノ作りをどのように考えればよいのか
前々回の連載で、資本主義経済前の要点は「いかに大きな付加価値を作り出すかということ」であると述べた。今回は、この点をもう少し突っ込んで述べたい。
まず押さえておきたいことは、人々の関心はモノよりもコト(サービス)に移っているということである。「モノ=付加価値」という等式は成り立たない。モノ離れを示す象徴的なデータがある。
内閣府が長く行っている「国民生活に関する世論調査」によると、心の豊かさを求める人が6割以上で、モノの豊かさを求める人よりも断然多い。また、耐久消費財の普及に満足している人は8割近くもいる。大学の学生に「欲しいモノは何?」と聞いても答えはない。
「作っては壊し作っては壊し」で豊かになれるという考えは、高度経済成長期の刷り込みに過ぎず、そんな世界はとうの昔に終わった。そもそも資源制約や環境制約から、そのような経済はもはや立ちゆかない。「モノ=付加価値」という経済から「コト=付加価値」という経済への転換は現実に起きている。
しかし一方で、モノが消えてなくなることはあり得ない。とするとモノ作りをどう考えればよいのか。