モノ離れの時代、カギは「ハイパワードマテリアル」

記事のポイント


  1. 人々の関心はモノよりもコト(サービス)に移っている
  2. 「作っては壊し作っては壊し」で豊かになれる時代は終わった
  3. これからのモノ作りをどのように考えればよいのか

前々回の連載で、資本主義経済前の要点は「いかに大きな付加価値を作り出すかということ」であると述べた。今回は、この点をもう少し突っ込んで述べたい。

まず押さえておきたいことは、人々の関心はモノよりもコト(サービス)に移っているということである。「モノ=付加価値」という等式は成り立たない。モノ離れを示す象徴的なデータがある。

内閣府が長く行っている「国民生活に関する世論調査」によると、心の豊かさを求める人が6割以上で、モノの豊かさを求める人よりも断然多い。また、耐久消費財の普及に満足している人は8割近くもいる。大学の学生に「欲しいモノは何?」と聞いても答えはない。

「作っては壊し作っては壊し」で豊かになれるという考えは、高度経済成長期の刷り込みに過ぎず、そんな世界はとうの昔に終わった。そもそも資源制約や環境制約から、そのような経済はもはや立ちゆかない。「モノ=付加価値」という経済から「コト=付加価値」という経済への転換は現実に起きている。

しかし一方で、モノが消えてなくなることはあり得ない。とするとモノ作りをどう考えればよいのか。

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細田 衛士(東海大学副学長、政治経済学部教授)

東海大学副学長、政治経済学部教授。1953年生まれ。77年慶応義塾大学経済学部卒業後、同大学経済学部助手、助教授を経て、94年より教授。2001年から05年まで同大経済学部長を務めた。中央環境審議会委員や環境省政策評価委員会委員なども歴任した。

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