葉っぱのまちが挑むエネルギー自給

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徳島県上勝町の棚田

「地域のものは地域でつくる、そんな『まち』でありたい」。徳島県上勝町が「緑の分権改革」推進事業のホームページに掲げる言葉だ。同町は、豊かな自然を生かして地産地消のエネルギー循環に取り組んでいる。今年度の実証実験の結果、エネルギーの完全自給への見通しは明るいという。

インターネット利用による「葉っぱビジネス」で一躍有名になった上勝町は、人口約2千人、高齢化率48%の山間のまちだ。2003年に日本初の「ゼロ・ウエイスト宣言」を行い、先進的な資源ゴミの回収・再生を行ってきた。

2010年度は、総務省の緑の分権改革推進事業を受託し、小水力発電、太陽光発電、木質バイオマス利用、電気自動車導入、家庭の生ゴミや家畜の糞を利用するバイオガスなどのエネルギー利活用の実証実験を行った。

その結果、電力に代替すると約65%、熱量にすると約175%の自給が可能であることが分かった。今回は行わなかった風力発電などを加えると、電力もまかなえる可能性が高いそうだ。

INAXの「エコ・サニテーション」の構成。し尿の発酵分解処理と、生活雑排水の土壌処理を戸別に行う

自然エネルギーを生み出し、ごみを再生利用するなど、地域循環のための技術サポートも必要だ。INAX は、1月から上勝町と提携して、2013年3月まで水資源を守る実証研究を行っている。

世界的な水不足を視野にいれ、し尿と生活雑排水を戸別に処理して再利用・再資源化する分散型システム「エコ・サニテーション」だ。し尿の発酵分解と雑排水の土壌処理を適切に行うことで、河川などの汚染を防ぐ技術だ。従来のような下水道や下水処理施設など大掛かりのインフラを必要としないので、中央集権的な都市モデルとは異なる場所にも対応可能である。

上勝町と INAX は共同実証研究協定書を締結。左が笠松和市町長

エネルギーの自給自足を進めるためには今後どのような技術が必要か。上勝町産業課の東ひとみ氏は「木質バイオマスとメタンガスで発電できる技術があるといい」とのことだ。石油系燃料と併用の発電事例は国内にもあるそうだが、あくまでも自然エネルギーにこだわる。「ドイツのフライブルグに実例があるので、日本でも可能なはず」と話す。

井上ひさしの「吉里吉里人」がふと頭をよぎる。日本政府に愛想をつかした東北の村が独立宣言をする物語だ。地域主権を担う人々が魅力的に描かれている。上関原発の建設で揺れる祝島では、「自然エネルギー100%プロジェクト」がはじまった。(オルタナ編集部=有岡三恵)2011年3月2日

2011年3月4日(金)11:00

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