企業の社会貢献の新潮流「コミュニティ投資」――アジアCSR最前線(4)

CSRアジア プロジェクトマネージャー・エスサー・テー

CSRアジアは、シンガポールの国立ボランティア&フィランソロピー・センター(NVPC)の協力を得て、6月12日にシンガポールで「コミュニティ投資フォーラム」を開催した。参加者は同国内からはもちろんのこと、インドネシア、マレーシア、タイ、ミャンマーなどの東南アジア各国から、製造業、採掘業、観光業、サービスなどさまざまな産業やNPOの代表が集まった。(CSRアジア プロジェクトマネージャー・エスサー・テー、監訳: CSRアジア東京事務所 日本代表・赤羽真紀子)

このフォーラムの議論で中心になったのは、企業がコミュニティに投下した資源がどのような効果をもたらしたかの測定についてであった。世界中で広く企業の社会貢献は行われているが、企業の貴重な資源を社会に提供したからには、その効果がどうだったか、地域に対する効果は何か、それを行った企業に対しての効果は何かを測定しようというのが「コミュニティ投資」の考え方であり、これが今の世界の潮流だ。

しかし、企業のコミュニティ投資効果(CCI)を測定するのは実務上難しい。CSRアジアのコミュニティ投資の専門家で、このフォーラムのスピーカーでもあったメイベル・ウォンは「前向きな変化をもたらす意義あるプログラムに資源が投資されるようにするための、価値ある取り組みだ」と指摘する。

同日発表されたCSRアジアのコミュニティ投資に関するレポート「ドルとセンス」によれば、調査対象となった香港、インドネシア、マレーシア、シンガポールの大企業80社は、まだ社会貢献の効果を測定する「コミュニティ投資」を行っていないという。社会貢献をコミュニティへの「投資」ととらえ、その効果を測定するよりは、逸話を発信するだけに留まりがちなのだ。

■ 「コミュニティ投資」の効果を測定するには

同フォーラムではすでにコミュニティ投資に取り組んでいる企業からの発表があった。戦略的にコミュニティ投資に取り組むことは痛みの伴う改革も必要であり、測定のためのリソースも必要であると語ったのは、アコーホテルグループやプライス・ウォーターハウス・クーパーズなどの、すでに取り組んでいる企業担当者だった。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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