魚食文化を広める「ウギャル」が活躍

モデルのライさんは、ノギャルメンバーの一員でもある

雑誌「EDGE STYLE」モデルで、若者に魚食文化を発信する「ウギャルプロジェクト」の発起人のLie(ライ)さん(25)。ウギャルとは、「魚(ウオ)」と「海(ウミ)」と「ギャル」を掛け合わせた造語だ。ライさんは、岩手県釜石市でカキの養殖や、被災地の漁業支援などにも取り組んでいる。(聞き手:オルタナS編集長 猪鹿倉陽子)

 

■きっかけは魚の串焼き屋でのアルバイト

――なぜ、「ウギャルプロジェクト」をやろうと思われたのですか。

私の両親も魚好きで、小さい頃はよく魚を食べていたのですが、一人暮らしをするころにはあまり食べなくなっていました。そんな中、魚の串焼き屋さんでアルバイトを始めました。お店では魚のさばき方や接客をしていましたが、お店に若い人はほとんど来ていませんでしたね。

若い人の魚食離れによって、魚の消費量が減っていたり、価格の低下につながったりしていることも知りました。新鮮な魚はとてもおいしいですし、美容にも良いのです。若い人も新鮮な魚を食べたり、料理の仕方を工夫したりすれば、魚の良さを知ってもらえるのではと思っていました。日本近海に魚は4000種類ぐらいいるのですが、そのうちスーパーに並んでいる魚は100種類もありません。

――ノ(農)ギャルの藤田志穂さんの影響も受けたそうですね。

はい。藤田さんの主催するノギャルの農作業をするイベントに参加していました。藤田さんが農業を発信する姿を見て「かっこいい」と思っていましたし、心の支えになりました。そして、私も「ウ(魚・海)ギャル」として、若者に魚の良さを伝えていきたいと思うようになりました。

「若者に魚の美味しさを伝えたい」と語るライさん(左)

■若者へ魚のおいしさや漁師さんの思いを伝えたい

――ウギャルプロジェクトでは、具体的にはどのような活動をされていますか。

初めに行った魚の産地は高知県の四万十川や土佐佐賀漁港でした。きっかけは、水産会社「江嶋屋」(東京・港)と居酒屋チェーン「村さ来」(宮城・仙台)とのコラボメニューを開発・商品化することでした。

そこでは、ウナギの紫漬け漁の体験や、アオサノリの養殖場の見学、カツオのわらの手焼きを体験しました。この体験を経て、メニューを開発し、村さ来では2010年6月の約一カ月間、カツオのたたきやアオサノリを使ったお茶漬けなどが「ウギャルメニュー」として提供されました。

それから、岩手県釜石市ではカキの養殖のお手伝いを継続して行っています。ウギャルプロジェクトのキックオフイベントの時に釜石での「養殖カキ2万個生産」を宣言しました。

最低でも月一度は現地を訪れて、漁師さんの協力を得ながら作業をしています。漁師の佐々木健一さん(通称ケンちゃん)ご家族がやっている養殖場で、カキの間引き作業を何度か行い、2万個の稚貝を海に戻しました。出荷できるようになるまでは約2年かかります。カキの養殖がこんなに手間がかかることとは知りませんでした。

毎月釜石市を訪れる中で、ケンちゃんやケンちゃんのお母さん、地元の子どもたち、水産関係者の方との交流も深まりました。私たちが行くといつも歓迎してくれ、いろいろなことを教えてくれます。作業をしながら、漁業の大変さや厳しさも話してくれるので、勉強になります。ケンちゃんは本当に海や魚のことを大切に思っていて、そういった漁師さんたちの思いや生の声も伝えていきたいです。

――東北の漁業は東日本大震災で大きな被害を受けました。支援活動をされているそうですね。

今年の5月下旬に、釜石市に漁船を1隻と、ボートヨットの修理など行うマリンエクセル(東京・江東)とコラボして開発した水産カッパを30着届けました。このカッパの売り上げの一部は寄付金として、「東北の水産復興を考える会」を通じて、復興支援活動に寄付させて頂きます。

また、16年前に阪神・淡路大震災を経験した兵庫県明石市の漁業関係者の方と明石のタコを使った商品開発を行っています。商品の種類はタコの足になぞらえて8種類を予定しています。この企画で釜石市のケンちゃんと明石の漁師さんの交流も生まれました。あまり地域間での漁師さん同士の交流はないそうなので、とても盛り上がっていました。

■魚を食べて内側からキレイに

――最後に、若者へのメッセージをお願いします。

若い人たちからは、「魚は骨が多くて食べにくい、料理の仕方がわからない、臭い」という声を聞きます。でも、新鮮な魚介類を食べる機会や簡単な調理方法があればそのおいしさを知ってもらえると思います。

プロジェクトを通じて「魚をおいしそう、食べてみようと思うきっかけになった」という声もいただくようになりました。

魚は栄養素が多く、脂肪分も肉より低いので特に美を追求する女の子におすすめしたいですね。私も、肌荒れがひどい時期があったのですが、魚を進んで食べるようにしたら改善しましたし、体も痩せました。10年、20年先のことを考えて内側からキレイになりましょう。

<プロフィール>

Lie(ライ)

1985年生まれ。黒肌で「強め」と言われるお姉系ギャルのカリスマモデル。 現在は、「EDGE STYLE」(双葉社)のレギュラーモデルとして活躍。2009年11月29日に「Kei」から 「Lie」(ライ)に改名し活動中。日本人離れした顔立ちとスタイルの良さが人気を集めている。ノギャルメンバーの一員でもあり、シブヤ米作りなどの活動を通り食へ の関心が高まり、若者への魚食推進を目的とした「ウギャルプロジェクト」を立ち上 げる。ギャル界一の魚好きである。特技は、魚のさばき、船酔いしない、DJなど。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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