「環境難民」はジブンごと!? 第3回・「ツバルは沈まない」はホント?

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しかし人間活動が盛んな場所では、詳しい原因は不明だが生活排水や糞尿などの影響で有孔虫がいちじるしく減少する事が分かっている。つまり海岸浸食は人間活動が盛んになり、砂の供給量が減って砂浜がやせてきていることが原因ではないか、とする見方だ。

ツバルでのマングローブ植林事業 (C)ツバル・オーバービュー

全人口の約半数にあたる5千人が暮らす、ツバル首都のフナフチ環礁のフォンガファレ島では下水処理施設などがないため、人為的な海洋汚染は否定できない。しかし居住人数も汚染の度合いも少ないツバルの他の島でも、同様に海岸浸食は進行している。この事実を考えると、やはり海面上昇の影響が人間活動よりも大きいのではないか、と考えられる。

――人為的要因が強調された背景には何があったのか

2006年に沖縄で開催された島サミットの際、ツバル国の海岸浸食への支援を約束した日本政府は翌年、外務省の次官をリーダーとした調査団をツバルに派遣した。その時の調査を基に2010年、5か年計画の支援プロジェクトとして、砂の供給力を回復して浸食された海岸線を回復することを目的に、人間活動で減少しているであろう有孔虫を人工的に増産する研究をスタートした。その時、事業の正当性を確保するために人為的要因が強調された。

海岸浸食の原因が海面上昇ならば、砂を人為的に水平方向に補充しても将来的には意味がない。島の海抜を高くしていく施策が必要だ。しかし、人が居住し滑走路や政府庁舎などがあるフォンガファレ島の海抜を高くすることは物理的に不可能だ。

つまりこの事業を始めるには「ツバルでは海面上昇は起きていない」とする必要があった、ということだろう。新聞で「有孔虫がツバルを救う」という論調を見たが、それはフォンガファレ島だけを想定した話で、ツバル全体をみた場合の解決策とは言えない。

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2012年1月6日(金)11:21

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