編集長コラム) 6月の「リオ+20」では、世界の「グリーン経済」の方向性が決まる

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今年6月20日からの3日間、ブラジルのリオデジャネイロで「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」が開催される。

1992年、同じ場所で「国連環境開発会議(リオ地球サミット)」が開催され、これまでの地球環境保護や持続可能な開発の考え方に大きな影響を与えてきた。

毎年12月のCOP(条約締結国会議)が大きく報じられる「気候変動枠組条約」も、名古屋COP10で一躍存在を知られるようになった「生物多様性条約」も、そして「砂漠化防止条約」も、20年前の地球サミットで署名された経緯がある。

いわば、地球環境保護の流れの原点のような会議だった。1992年6月3日から14日の12日間、世界172カ国から首脳や産業団体、市民団体などの非政府組織 (NGO) など4万人が集まった。

今回のリオ+20の参加国数は約120で、日数も3日間と短いものの、参加者の総数は20年前を上回る5-10万人の参加をブラジル政府は見込んでいる。

いわば史上最大規模の環境サミットだ。そこで今度は何が話し合われるのか。ずばり、「リオ+20」の主要テーマは以下の2つだ。

1)グリーン経済(持続可能な開発及び貧困緩和の意味でのグリーン経済) 2)持続可能な開発の組織的フレームワーク

グリーン経済は、国連環境計画(UNEP)が2011年2月に「グリーンエコノミー報告書」で発表した概念で、ポール・ホーケンらの「自然資本主義」の概念と軌を一つにする。

同報告書では、1)10の主要セクターに世界のGDPのわずか2%を投資するだけで低炭素、資源効率の高い経済に向けての移行が可能 2)グリーン経済を進めることは成長を引き起こすだけではなく、特に自然資本の増益にもつながり、GDPおよび一人あたりのGDPのより高い成長を生み出す--と指摘している。

中でも重要視されているのが「グリーンイノベーション」で、特にスマートグリッド、ヒートポンプ、太陽光発電、地熱発電、エコ住宅、省エネ家電、LED照明、廃棄物管理などの環境エネルギー技術に関心が集まっている。

このほか、森林や土壌、鉱物資源などを「自然資本」として定量評価し、経済システムに組み込んだり、自然資本を国家会計や企業会計に組み込む仕組みも議論される。

リオ+20会議では、各国の政府や企業、団体が一堂に会することで、今後のグリーン経済戦略の方向性が明らかになる。その意味で、21世紀を主導する可能性が高い「グリーン経済」の出発点となろう。

ところが、日本政府や日本企業の間で、リオ+20に対する関心は高いとは言えない。野田首相がブラジルを訪れる可能性は高くないし、参加する日本企業の数も10社程度にとどまっている。

企業であれば、せっかく製品紹介や情報収集、海外企業・団体とのネットワークづくりの良い機会であるのに、この関心の低さは残念な状況だ。

おりしも日本では7月1日から、自然エネルギーの全量買い取り制度(FIT)が始まり、自然エネルギー元年を迎える。電力需給がひっ迫する中で、節電技術や新たな仕組みも求められている。その割には、スマートメーターの導入策は具体化されていない。

本来であれば、日本が世界に先駆けてグリーンイノベーションのお手本を示すべきで、具体的な技術も数多く保有しているのもかかわらず、このリオ+20で日本のプレゼンスを示せるかは甚だ疑問だ。日本が世界のグリーンの流れから取り残されることを深く危惧する。(オルタナ編集長 森 摂)

2012年5月11日(金)19:55

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