ネスレ、「地域密着」を軸にサーキュラーエコノミーを強化へ

記事のポイント


  1. ネスレ日本が「地域密着」を軸にサーキュラーエコノミーの強化を図る
  2. ネスレはグローバル全体で脱プラスチックやリサイクルを推進する
  3. この目標の実現に向けて、製品パッケージの改良や廃棄物の削減に取り組む

ネスレ日本は「地域密着」を軸に、サーキュラーエコノミーの強化を図る。ネスレはグローバル全体で脱プラスチックの取り組みやリサイクル活動を推進してきた。今年中にプラスチックパッケージの95%以上をリサイクル可能な設計に変えるという大目標もある。この目標の実現に向けて、製品パッケージの改良や廃棄物の削減に取り組む。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

フジが運営するスーパー「フジグラン広島(広島市)」の店頭で、使用済みの「ネスカフェ ゴールドブレンド エコ&システムパック(つめかえパック)」を回収している

ネスレ日本はサーキュラーエコノミーの強化を通して、脱プラスチックとリサイクルを推進する。「地域密着」を柱に、小売や卸売などの事業者と連携し、各地域で資源が循環する「輪」をつくってきた。

同社はこのほど、中国・四国でのサーキュラーエコノミーの展開を強化する。これまで同社は中国・四国でスーパーを展開するフジ(広島市)と組んで、店舗内で「ネスカフェ ゴールドブレンド エコ&システムパック(つめかえパック)」の紙製パッケージを回収してきた。2022年から回収を始め、累計で約2万個のパッケージを回収した。

回収した紙パッケージは、一般社団法人アップサイクル(大阪市)の協力のもと、トートバッグやコースターなどの繊維製品にアップサイクルし、顧客に提供してきた。

「ネスカフェ」の紙製パッケージと、アップサイクルによって生まれたコースター

6月からは、酒類・食品の卸売を行う加藤産業(兵庫県西宮市)もこのサーキュラーエコノミーの輪に加わる。加藤産業の物流拠点や配送網を活用しての回収をできるようにした。配送体制を整え、回収量を増やしていく。

加藤産業が加わったことについて、ネスレ日本の稲垣英之・営業本部中四国支社長は、「生活者からの(回収ボックスの)常設化の要望や店舗スタッフの負担軽減という課題があったので、物流機能を活かした効率的な回収体制を構築できたことは大きい」と話した。

「本パートナーシップを通じ、生活者と共に環境意識を高める取り組みをさらに推進していく」とし、今後はより地域に根差したコラボレーションアイテムの開発も行っていきたいと展望を語った。

食品・飲料企業、小売業、卸売業がそれぞれの強みを生かした

食品・飲料企業、小売業、卸売業の「三業態連携モデル」を、今後は他地域にも展開していく考えだ。

ネスレ日本のコーポレートアフェアーズ統括部に所属する瀧井和篤氏は、「製品パッケージを回収し、リサイクルやアップサイクルをするためには、生活者のご協力による回収が不可欠だ。今回実現できたこの三業態連携モデルを今後は他地域にも広げていきたい」と話した。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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