記事のポイント
- 「ベン&ジェリーズ」の共同創業者が辞任を発表した
- 「親会社であるユニリーバが発言を抑制している」と批判
- 中東情勢を巡りユニリーバとの対立が決定打となった
米アイスクリームブランド「ベン&ジェリーズ」の共同創業者ジェリー・グリーンフィールド氏が辞任を発表した。同氏は自身のSNSで「親会社であるユニリーバがベン&ジェリーズの社会的・政治的発言を抑制している」と批判。中東情勢を巡るユニリーバとの対立が決定打となった。(オルタナ輪番編集長・吉田広子)

ベン&ジェリーズは1978年に米バーモント州で設立されたアイスクリームブランドだ。人権や環境問題に関するキャンペーンを展開し、社会課題への積極的な発信で知られている。毎年恒例の「フリーコーンデー」などのユニークな取り組みも人気だ。
ユニリーバは2000年にベン&ジェリーズを買収したが、社会的使命を守るために独立取締役会が設置され、ブランドの発言の自由は担保されるとされていた。
しかし、2021年、ベン&ジェリーズがヨルダン川西岸での販売停止を決定したことを契機に、ユニリーバとの対立が表面化した。ユニリーバはイスラエル事業を地元ライセンシーに売却し、両者の緊張はさらに高まった。
最近では、ガザ情勢を巡り、創業者とユニリーバの関係はさらにこじれた。ベン&ジェリーズの独立取締役会は、「大量虐殺」と非難声明を出した。共同創業者のベン・コーエン氏は5月、公聴会が開かれていた米上院で抗議活動を行い、警察に逮捕された。
一方で、コーエン氏は引き続きブランドに残り、「中から独立性を守る」として活動を続ける意向を示している。
現在ユニリーバはアイスクリーム事業を再編し、ベン&ジェリーズを含むブランドを新会社「マグナム・アイスクリーム・カンパニー」として11月に株式公開する計画だ。
コーエン氏はCNNの取材に対し、「ジェリーは心優しい人間で、この葛藤に耐えられなかった。辞任は苦渋の決断だった」とコメントしている。