資本効率性の向上とサステナビリティ経営

【連載】サステナビリティ経営戦略(30)

記事のポイント


  1. 伊藤レポートが指摘した日本企業の持続的低収益性の問題は未解決のまま
  2. 持続的な企業価値創造では無形資産を活用したサステナビリティ経営が重要
  3. 同時に、持続的に稼ぐ力を発揮するための資本コスト経営も必要

2014年、経産省が伊藤レポート(伊藤邦雄 一橋大学大学院商学研究科教授(当時)を座長とするプロジェクトの成果)を公表しました。レポートでは、日本企業がイノベーション創出力を持ちながらも持続的低収益に陥っているという問題を提起しました。日本企業に対し、資本効率性の向上(市場が期待する収益率である資本コストを上回るROEの達成)を要請しました。(サステナビリティ経営研究家=遠藤 直見)

この要請は、その後の「伊藤レポート2.0」(2017年公表。無形資産への投資やESGへの対応を踏まえた企業価値創造ストーリーの重要性を訴求)だけでなく、「伊藤レポート3.0」(8月31日公表。企業にサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を要求)にも引き継がれています。

企業の経常利益は上昇傾向にあります。一方、日本企業の持続的低収益性の問題は未解決のままです。「伊藤レポート3.0」では以下のように警鐘を鳴らしています。

資本コストと資本効率性を意識した経営への転換は、日本ではまだ緒についたばかりであり、長期的な競争優位の向上・強化や企業価値向上に向けた取組は、依然として大きな課題である。

持続的な企業価値創造における無形資産の活用

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遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

東北大学理学部数学科卒。NECでソフトウェア開発、品質企画・推進部門を経て、CSR/サステナビリティ推進業務全般を担当。国際社会経済研究所(NECのシンクタンク系グループ企業)の主幹研究員としてサステナビリティ経営の調査・研究に従事。現在はフリーランスのサステナビリティ経営研究家として「日本企業の持続可能な経営のあるべき姿」についての調査・研究に従事。オルタナ編集委員

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キーワード: #サステナビリティ

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