「SX銘柄2024」選定15社をベンチマークしてみよう

記事のポイント


  1. 日本企業は持続的な企業価値向上に向けてSXへの取組が求められている
  2. 「SX銘柄2024」として、味の素、オムロン、日立製作所など15社が選定
  3. 選定企業のベンチマークを通して自社の経営・事業変革の実行と加速を

経済産業省(以下、経産省)と東京証券取引所(以下、東証)は4月23日、「SX銘柄2024」として、味の素、オムロン、日立製作所など15社を選定しました。5月24日のSXシンポジウム2024で表彰式が予定されています。持続的な企業価値向上を目指す日本企業は、「SX銘柄2024」選定15社をベンチマークすることが有効です。(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家=遠藤 直見)

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)とは、持続的な企業価値向上のために、社会の持続可能性に資する長期的な価値提供を通じて、自社の持続的な成長原資の創出力向上と更なる価値創出へと繋げていくこと、及びそのために必要な経営・事業変革を意味します。

■「SX銘柄」創設の背景に「VUCA時代

不確実性の時代、企業は持続的な企業価値向上に向けた新たな成長機会の探索に迫られています。

気候変動、生物多様性、エネルギー危機、パンデミック、人権など地球規模のサステナビリティを巡る課題は、企業にとってはリスクであることを超えて、長期的な機会創出の面からも経営戦略の根幹の要素になっています。

企業は、サステナビリティ課題を自社の経営・事業活動に戦略的に織り込み、リスク対応及び機会創出の両面で変革を実行していくことが必要です。これがSXです。

SXでは、リスク対応や機会創出の基盤として、実効性あるコーポレートガバナンス、投資家を始めとするステークホルダーとの建設的な対話及び経営資本の効率性向上に対する明確な意識なども求められます。

SXは、本コラムの共通テーマであるサステナビリティ経営そのものといえます。

経産省と東証は、SXを通じて持続的に成長原資を生み出す力を高め、企業価値向上を実現する先進的な企業群を「SX銘柄2024」として選定しました。今回が初めての選定となります。

2023年10月から11月にかけて、東証の全上場企業(約3,800社)を対象に募集が行われました(調査票を送付)。PBR(株価純資産倍率)1倍以上が応募の必須要件です。

応募企業数は159社(プライム市場150社、スタンダード市場5社、グロース市場4社)。時価総額が大きいほど応募企業数が多くなりました。時価総額4兆円以上の企業では7割が応募し、「SX銘柄」への関心の高さが窺われます。

「SX銘柄」創設の背景には、欧米企業と比べた場合のROE(自己資本利益率)の低さ、PBR1倍割れ企業の割合の高さなど、長年にわたる日本企業にとっての「不都合な真実」があります。

2023年3月時点で、プライム市場の約半数、スタンダード市場の約6割の上場企業がROE8%未満、PBR1倍割れとなっています。

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遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

東北大学理学部数学科卒。NECでソフトウェア開発、品質企画・推進部門を経て、CSR/サステナビリティ推進業務全般を担当。国際社会経済研究所(NECのシンクタンク系グループ企業)の主幹研究員としてサステナビリティ経営の調査・研究に従事。現在はフリーランスのサステナビリティ経営研究家として「日本企業の持続可能な経営のあるべき姿」についての調査・研究に従事。オルタナ編集委員

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キーワード: #サステナビリティ

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