記事のポイント
- 経産省と東京証券取引所は4月23日、「SX銘柄2024」を公表した
- SX銘柄として、味の素やオムロン、KDDIなど15社を選定した
- SXは社会課題を踏まえ、中長期的な視点で企業の価値向上を図る取り組み
経産省と東京証券取引所は4月23日、「SX銘柄2024」を公表した。SX(サステナビリティトランスフォーメーション)は、社会の持続可能性と企業の持続可能性を同軸でとらえ、中長期的な視点で企業の価値向上を図る取り組みを指す。SX銘柄として、味の素やオムロン、KDDIなど15社を選定した。(オルタナ副編集長=池田 真隆)
「SX」とは、気候変動や人権侵害など社会のサステナビリティ課題を踏まえて、経営戦略を組み直す取り組みだ。投資家などと中長期的な視点で建設的な対話を通じ、資本効率性を意識した経営への変革を目指す。
経産省がSXを打ち出した背景には、「株価純資産倍率(PBR)1倍割れ」の問題がある、PBRが1倍割れした国内企業の割合は、欧州や米国に比べて非常に高い。自己資本利益率(ROE)も、一定の改善をしてきたが、欧州や米国企業と比べて低い。
経産省としては、資本効率性を高めた経営に変革を促すため、SXを実現するためのフレームワーク(「価値協創ガイダンス2.0」)を策定した。このガイダンスに基づき、SXに取り組む企業の中から、先進企業群を「SX銘柄2024」として選定した。
経産省が昨年10月から11月に掛けて募集を行い、応募のあった企業から選んだ。PBR1倍以上を必須要件にした。応募企業数は159社(プライム市場150社、スタンダード市場5社、グロース市場4社)で、時価総額4兆円以上の企業の7割が応募した。
■味の素は、パーパス・マテリアリティ・戦略に「一貫性」
SX銘柄2024に選定したのは、味の素やオムロン、KDDIなど15社だ。味の素は、「アミノサイエンス」という独自の競争優位性を生かしたビジネスモデルを確立した。同社の社会的指標「ASV(Ajinomoto Group Creating SharedValue)」の実現に向け、パーパスに基づくマテリアリティ(重要課題)の特定や戦略を構築した。
価値創造ストーリーとしては、「環境負荷の削減」と「健康寿命の延伸」という2つのアウトカムを通して、パーパスの実現を掲げた。マテリアリティの達成状況と役員報酬を連動し、戦略やKPIを見直すガバナンス体制を構築したことも評価された。
オムロンは、「バックキャスト」と「フォアキャスト」によって目指す姿を描いた。価値観や長期戦略、ガバナンスなどに一貫性を持たせた。
アウトカムを事業別に明確化し、その価値を創出するまでのプロセスをロジックモデルの作成によって可視化した。
KDDIは、重要課題の識別を行うマテリアリティプロセスを経ることで価値観、社会動向、ビジネスモデルと重要課題に整合性を見出し、戦略との繋がりを示した。
■「SX銘柄2024」に選定した15社
味の素株式会社
オムロン株式会社
キリンホールディングス株式会社
KDDI株式会社
第一三共株式会社
ダイキン工業株式会社
東京エレクトロン株式会社
東京応化工業株式会社
日本航空株式会社
株式会社日立製作所
富士フイルムホールディングス株式会社
株式会社ブリヂストン
三井物産株式会社
明治ホールディングス株式会社
ユニ・チャーム株式会社