記事のポイント
- 企業の過半数が障がい者法定雇用率2.7%の達成を「困難」と回答した調査結果が出た
- 企業が障がい者に求める志向は「安定・定着」だが、当事者は「成長」を望む
- 採用後の活躍支援も不十分で、雇用の量的拡大に加え「質の向上」が求められる
障がい者の法定雇用率が2.7%に引き上げられるのを前に、パーソルグループが調査を実施した。その結果、法定雇用率2.7%の達成について、過半数の企業が「困難」と回答した一方、7割以上の企業は採用拡大に意欲を示した。企業が障がい者人材に求める志向として最も多かったのは「安定」だが、当事者は「成長」を重視しており、両者にはギャップがみられた。採用後の活躍支援は十分とはいえず、雇用の量的拡大に加え「質の向上」も求められている。(オルタナ編集部=川原莉奈)
2026年7月以降、民間企業における障がい者の法定雇用率が現在の2.5%から2.7%に引き上げられる。
総合人材サービスのパーソルグループがこのほど実施した「企業の障害者採用に関する実態・意識調査」によると、法定雇用率2.7%の達成について、52.6%の企業が「困難」(19.2%)または「やや困難」(33.4%)と回答した。

(出典:企業の障害者採用に関する実態・意識調査)
一方で、今後の採用意向については、75.8%の企業が「拡大したい」(35.3%)または「できれば拡大したい」(40.5%)と答えており、多くの企業が採用拡大には意欲的であることがわかった。
企業が障がい者人材に求める志向として最も多かったのは、「安定・定着志向」(45.7%)で、次いで「バランス志向の人材」(36.0%)、「成長・活躍志向」(18.3%)と続いた。

(出典:企業の障害者採用に関する実態・意識調査)
一方、働く障がい者本人に関する調査では、「成長・活躍志向」を持つ人の割合が最も高く、企業側との間でギャップがあることが明らかになった。
企業からは「キャリア形成や能力に応じた処遇の見直し、昇格などが今後の課題」「個々に合わせたキャリアプランが必要」といった声も上がっており、採用後の活躍支援が十分とはいえない実態も浮き彫りになった。
今後は、雇用の量的拡大に加え、一人ひとりの成長・活躍を通じて事業貢献につなげる「質の向上」が求められる。
【調査概要】
・調査主体:パーソルダイバース株式会社
・調査期間:2025年10月17日~10月24日
・調査対象者:dodaチャレンジに登録する企業の障害者採用担当者501名
・調査手法:自社会員を用いた、インターネットによるアンケート調査



