高度な資源循環、生かすも殺すも自治体次第

記事のポイント


  1. 自治体の資源循環は「産業廃棄物処理法の厳格な理解」という壁に阻まれている
  2. 2024年に閣議決定されたサーキュラーエコノミー実現だが、後ろ向きな自治体が散見される
  3. 自治体が従来型の行政から脱却することが、サーキュラーエコノミーの実現につながる

先日、ある会合で昔なじみの産業廃棄物処理業者と隣り合わせた。たわいもない会話から始まったのだが、突然話の内容が深刻化した。

他県では新設の産業廃棄物処理設備が半年で許可されたのだが、全く同じ設備が自分の県では2年経っても許可が下りないという。この県は、他の県と比べて設備の許可にかなりの時間を要することで有名だそうだ。採算が合わず、設備の許可申請を諦める業者もいると聞く。

こんな話も耳にした。資源の高度な循環利用を目指して実証実験を計画した事業者が、廃棄物処理法の壁に阻まれ、事業実施までかなりの日数と費用をかけざるを得なかったそうだ。自治体担当者は、資源の高度な循環利用などには一切興味がなく、 廃棄物処理法を厳しく運用することしか頭にないということらしい。

国が主導する産官学のパートナーシップ「サーキュラーパートナーズ」 のメンバーでさえ、資源の高度な循環利用を目指して進めようとすると、 自治体の「厳格な廃棄物処理法の解釈」という壁に阻まれ、担当者が各都道府県を駆けずり回る羽目になるという。その苦労が偲ばれる。自治体は、水平リサイクルなど資源の高度な循環利用には興味がないようだ。

最初の産廃業者の嘆きの事例だが、その県には、サーキュラーエコノミーの実現に熱心な知事がいることで知られている。だが、行政の現場は資源の高度な循環利用には無関心なのだ。なんとちぐはぐなことか。

■従来型の行政から脱却を

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細田 衛士(東海大学学長補佐、政治経済学部経済学科教授)

東海大学学長補佐、政治経済学部経済学科教授。1953年生まれ。77年慶応義塾大学経済学部卒業後、同大学経済学部助手、助教授を経て、94年より教授。2001年から05年まで同大経済学部長を務めた。中央環境審議会委員や環境省政策評価委員会委員なども歴任した。

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