システムチェンジ投資で海洋プラゴミ問題にどう取り組むのか

記事のポイント


  1. かんぽ生命と三菱UFJ信託銀は投資で社会課題の解決を目指す
  2. システムチェンジ投資と呼ばれるもので、課題の発生要因に切り込む
  3. この投資で海洋プラスチックゴミ問題にどう取り組むのか

かんぽ生命と三菱UFJ信託銀行、社会変革推進財団は連携して、システムチェンジ志向のインパクト投資ファンドの運用を行う。同ファンドで、企業に社会的インパクトとイノベーションを促し、社会課題の背景にある「構造的な課題」にアプローチする。例えば、海洋プラゴミ問題に対しては、企業への株式投資とエンゲージメント活動を通じて、海洋生分解性素材への切り替えなどを後押しする。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

三菱UFJ信託銀が運用するシステムチェンジ志向のインパクト投資ファンドのスキーム

システムチェンジ志向のインパクト投資ファンドは、社会課題の構造的解決を目指す国内上場企業が対象だ。長期目線で短期のコスト増を許容する投資家の意識変革につなげる。

同ファンドはアセットオーナーであるかんぽ生命がサステナブル投資において重視する「ウェルビーイングの向上」「地域と社会の発展」「環境保護への貢献」をテーマに、アセットマネージャーである三菱UFJ信託銀行が運用を行う。

従来のインパクト投資では、長期的な投資リターンと環境や社会へのポジティブな効果(インパクト)の両立を目指した。一方、ベンチャー・新興企業を中心とした非上場株式(PE)投資が主流で、どの程度のインパクトをもたらせたのかをしっかりと測定・モニタリングする仕組みに立脚しながら投資する投資家は限定的だった。

加えて、短期的にはコストの増加になっていた。企業の取り組みの意義を理解し、長期目線で短期のコスト増を許容する投資家の意識変革なくしては、システムチェンジ投資は成り立たないという課題があった。

投資で問題の発生原因に切り込む

従来は、「持続可能性を高める取り組み・ソリューションを展開する企業に投資する」という企業起点の投資が主流だった。

システムチェンジ投資は、直面する環境・社会問題を生み出す根本課題を解決すべきターゲットと設定する。それに切り込むソリューションを提供する企業に投資することで、問題を発生させている仕組みそのものを変えていくことを狙う。

例えば「海洋環境がマイクロプラスティックで汚染されている」という環境問題が起きる根本的な課題は、「衣服やタイヤが分解されない素材でできていること」と考えることができる。

タイヤや衣服のメーカー企業への株式投資とエンゲージメント活動を通じて、「素材を海洋で分解される素材に切り替える」などの行動変容を促すことで、汚染発生のシステムの変革を試みる。

このように、システムチェンジ投資の心臓部は、構造分析と根本課題の突き止めに尽きる。

muroi

室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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キーワード: #システムチェンジ

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