記事のポイント
- 新車登録におけるEV普及の重心が、先進国から新興国主導に移りつつある
- ゼロエミッション車(ZEV)は2025年、世界の新車販売の25%超を占めた
- EV比率はベトナム40%、トルコ22%と新興国での成長も著しかった
世界の新車登録台数におけるEV普及拡大の重心が、これまでの先進国から、新興国主導へと移りつつある。米研究機関や英シンクタンクによると、EVとPHEV(プラグインハイブリッド車)を合わせたゼロエミッション車(ZEV)は2025年、世界の新車販売の25%を占めた。2019年には3%未満だった。ベトナムでは40%、トルコでは22%に達し、タイでも新車販売の2割を超えた。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

(2025年は1月から10月までの10カ月間)
©Ember
■EV普及の重心は、先進国から新興国へ
米国の研究機関である国際クリーン・トランスポーテーション・カウンシル(ICCT)の報告書や英気候エネルギーシンクタンクのエンバーが2025年12月に発表した報告書によると、世界の新車販売でのZEVのシェアは、2024年の21%から2025年に25%に達した。
石油資源の豊富なノルウェーでは、新車登録台数でのEV比率が96%となったことはオルタナでも報じた。
参考記事:ノルウェー、2025年の新車販売台数の96%がEVに
デンマークでも、2025年のZEVの新車販売比率は68%に達し、12月単月で見ればその比率は83%にも達したという。81%がバッテリー電気自動車(BEV)、2%がPHEVだ。コロナ前までガソリン車やディーゼル車の比率が全体的に高かったデンマークでは、BEVバスも今、新車の7割を占めるまでに進んでいる。
オランダ、フィンランド、ベルギー、スウェーデンでも、新車の少なくとも3台に1台がZEVとなったほか、米国でもカリフォルニア州ではZEVの割合が20%に達した。
しかし、こうしたEVシフトは今、先進国だけで進んでいるのではない。
2025年は多くの新興国で、クルマの電動化が急速に進み始めた。
エンバーの報告書によると、新車販売台数のうちZEV比率が10%を超えた市場は、2019年には欧州4カ国だったのが、2025年10月時点で世界39カ国に上った。
シンガポール、タイ、ベトナムは、EUを上回るZEV比率となり、インド、メキシコ、ブラジルも、ZEV比率で日本を抜いた。
また世界に低価格なEVを輸出している中国では、2025年に初めてEV販売比率が50%を超えた。
■EVの普及拡大、日本車の牙城ASEANでも
EVの販売は、日本車の牙城と言われてきたベトナム、タイ、インドネシアなどのASEAN地域や、トルコでも急速に成長している。ICCTによると、新車におけるEV比率は、2025年上半期に、ベトナムで40%、タイで28%と、世界平均の25%を上回った。

© ICCT資料より
なお、2025年上半期までを示すICCTと、2025年1月から10月までを示すエンバーとでは一部のEV比率の数値が異なるが、どちらも新興国各国でEVが急伸長しているトレンドが確認できる。
ベトナムは2021年まで、EV比率は0.05%未満だった。しかし2025年には前年から普及率が倍増し40%に達した。ASEANでEV普及率トップを走るシンガポールに迫る勢いだ。
タイは2019年にはわずか1%だったが、2025年に入ってEV比率が20%を超えた。政府によるEV支援策で中国製の低価格なEVが急伸した。その裏では日本車のシェアが7割を切った。
インドネシアでも、政府によるEV販売奨励策が後押しする形で、新車に占めるEV比率が拡大した。同国では2023年に、2027年までの同国内でのEV生産開始を条件に、完成車や部品輸入にかかる輸入税や奢侈税を免除する施策を打ち出した。日本貿易振興機構(ジェトロ)の最新レポートによると、中国系を中心に12社が同国でEVの生産を開始している。
ICCTは新興国でのEV急拡大について、「優遇的な財政政策、強力な国内製造基盤(ベトナムとトルコ)、コスト競争力のある中国からの輸入(タイとインドネシア)が牽引している」と分析する。
■ベトナムEVは国産「ビンファスト」の独り勝ち
ベトナムでは、EVの販売拡大のほぼすべてが、ベトナム国産車「ビンファスト(VinFast)」によるものだ。
ビンファストは、2017年に同国最大の財閥・ビングループが設立した企業だ。当初はグループ内の配車企業への直接販売から始め、自社の充電ネットワークを構築した後、一般消費者向けに事業転換を図った。
2025年には、ビンファストの販売する4分の3以上のEVが一般消費者向けの直接販売となった。2025年12月には、通算20万台のBEV生産を達成し、主力の車種「VF3」は同年、ベトナムで最も売れた車となった。
2026年2月には電動スクーターをフィリピン、インドネシア、インド、タイ、マレーシア向けに海外展開する計画を公表するなど、四輪車だけでなく二輪車市場でも急成長を狙う。世界銀行は25年3月、2050年までにEV産業がベトナムで650万人の雇用を創出する可能性があるとの試算を発表している。

© Vinfast (同社HPより)
■トルコも自国産EVが奮闘する
■中南米やアフリカでもEV比率は躍進
■内燃機関車の輸入を世界で初めて禁止したエチオピア
■ネパールも新車販売の76%がEVに
■中国は大型トラック分野のEV比率も2桁に
■「EV導入は、化石燃料への依存度を低減する強力な手段」

