CNN日本語版「英国でレジ袋有料化見送り」は誤り

CNN(日本語版)は5月5日、「新型コロナ対策で激増するプラスチックごみ、規制後退に懸念の声」と題した記事を配信したが、その中で「英国で導入されるはずだったレジ袋の有料化が見送られた」という記述は誤りだ。有料化は2015年にすでに実施されている。今回、暫定的に無料となったのは、各スーパーが提供する食品のネット通販で使うレジ袋だけ。店頭のレジ袋は今でも有料のままだ。(ロンドン=冨久岡ナヲ)

スーパーに置いてある有料のリユーズバッグ

当該記事は5日14時10分に配信された。「英国では鳴り物入りで導入されるはずだったレジ袋の有料化が見送られた。」と書かれているが、英国では2011年にウェールズが有料化に踏み切ったのを皮切りに、2015年の秋には全国での有料化が実施されている。

新型コロナ感染拡大による暫定的な処置として行われているのは、各スーパーが提供している生鮮食品のネット通販において配達に使われるレジ袋だけだ。正しい情報を現地からお届けする。

イギリスでは毎日生鮮品の買い物に出る習慣が少なく、たいがいは1週間に一度まとめ買いをする。10年くらい前からは、スーパーでの買い物を全てオンラインで注文し希望の時間に配達してもらう世帯が非常に多くなっている。

今回の新型コロナによる自宅待機で、ネットからの注文量が普段の倍に膨らんだ。注文品を箱に詰める従業員の感染対策および作業の効率化のために、今までは希望する客にのみ有料で提供していたレジ袋を全部の注文に使わざるを得なくなり、政府が規制の一部緩和を許可した形だ。

無料にするかどうかの判断は各スーパーに任されている。

店頭でのレジ袋は変わらず一袋5ペンス(7円くらい)で有料だ。しかしほとんどの大手スーパーでは、すでにシングルユースのレジ袋自体を店に置かなくなっている。マイバッグを忘れた人はリユーズ・リサイクルが可能なショッピングバッグを、10ペンス〜5ポンド(約14円〜850円)で購入できる。

英国政府は、この暫定的措置はレジ袋の使用を促すものではなく、買い物にはこれからもリユーズできるマイバッグを使い続けてほしいと表明している。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #新型コロナ

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