異性への理解も深める「フェムテック」とは

韓国ブランド「EVE」のオーガニック生理用ショーツ(税込み4480円)

フェムテックが日本より早く普及した欧米でも、女性の健康は軽視されていた。女性の治験データが取られるようになったのは1993年以降で、それ以前は日用品、薬、車のシートベルトを含む多くの製品が男性の治験データのみに基づいて作られていた。

その背景には、女性の治験データは男性と比較して安定した数値が出にくいほか、リサーチ分野、医療業界や意思決定の場に女性が少なかったことが挙げられる。

特に生理など女性特有の悩みは表面化しにくかった。「生理処理用品は『母に買ってもらったから』という理由で使う女性が多く、選択肢があることを知らない人もいます。自分の体に合うものを選べば体だけでなく心理的側面にも負担をかけにくいので、選択肢を増やすことが重要」と、エスコラ氏は訴える。

「EVE」月経カップ(税込み3960円)

多様な生理処理用品の普及に薬機法が壁

他方で、フェムテック製品が日本の消費者に普及するには、ハードロー(法令)で課題が見える。薬機法(旧薬事法)上では生理処理用品は「白色」「使い捨て」「紙」でなければならないという規制があるのだ。

従って、吸水ショーツは黒色や洗って使えるので生理処理用品に区分できず、使い捨てナプキンと同じ効果があるという言い回しができない。「タンポン〇本分、使い捨てナプキン〇枚分」と表現することもできないので、消費者に製品の利便性が伝わりにくいという。

薬機法は医薬品・医療機器などの有効性・安全性を確保し、安全に使うための法律だが、多様化する生理処理用品に当てはまりにくい項目も多い。フェルマータは昨年10月末に発足したフェムテック振興議員連盟に参画し、現代のニーズに合わない薬機法を見直し、経済効果を高めることを議員たちに呼びかけている。

エスコラ氏は、フェムテック商品の販売や提供するサービスを通じて「(同社が)女性の社会進出を後押しするだけでなく、自分のパートナーや家族、友人など異性について理解するきっかけになりたい」と、今後の展望を述べた。

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