日本の有機農業に必要なのはグローバリズムとローカリズム

記事のポイント


  1. 米国はもともとグローバル化と自由貿易のハーモナイゼーションを先導してきた
  2. 第2次トランプ政権によってナショナリズムの傾向が強くなり、関税強化の方向に走り始めている
  3. 日本の有機農業のあり方も、ローカル性とグローバル性の両方から再考する必要がある

第2次トランプ政権が掲げる米国第一主義によって、世界的に広がっていたナショナリズムの傾向が強くなっている。

もともと自由貿易を先導していたのは米国だ。僕の実感では、少なくとも1990年代にはグローバリズムの主張が強くなり、関税による保護主義から自由貿易を重視する政策への移行が進んだ。農業分野では、 国内農家の所得を支える助成金が 「隠れた関税」として国際的に否定された。

1995年にWTO(世界貿易機関)が設立されて以来、グローバリズムの流れは一気に加速した。国際的な食品基準をつくるコーデックス委員会は、食品貿易をスムーズにするための食品規格の国際的統一を進めた。あらゆる規格の世界的調和を推進する「ハーモナイゼーション」 という言葉が広がったのもこのころだ。ISO規格の成立も自由貿易体制の確立という流れの上にある。

有機農産物に関しては、コーデックス委員会が1999年に、IFO AM(国際有機農業運動連盟)の基準をベースにガイドラインを採択した。日本はそれに合わせ、農産物の表示法である有機JAS法を同年に改正し、有機JAS制度を創設した。

地域に応じた基準づくり

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tokuemichiaki

徳江 倫明(オーガニックフォーラムジャパン会長)

1951年熊本県水俣市生まれ。78年「大地を守る会」に参画、有機農産物の流通開発を行い、88年日本初の有機農産物の宅配事業「らでぃっしゅぼーや」を興す。その後オーガニックスーパー、有機認証機関の設立などを手がけ、環境と食の安全をテーマにソーシャルビジネスの企画開発に挑戦し続けている。現在は(一社)フードトラストプロジェクト代表理事、生産と販売を繋ぐ“東京産直オフィス”FTPS株式会社を運営。

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キーワード: #農業

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