記事のポイント
- COP30は気候危機に向き合う場だが、今回も脱・化石燃料は実現しなかった
- だが、異常気象などへの「適応」を測る指標に合意したことは画期的だ
- 日本企業にとっても、サステナ戦略を見直す重要な転換点ととらえるべきだ
ブラジル・ベレンで11月22日に閉幕したCOP30は気候危機に向き合う場となったが、今回も脱・化石燃料は実現しなかった。しかし、異常気象などへの「適応」の進捗を測る指標づくりに合意したことは画期的だ。日本企業にとっても、自社のサステナ戦略を見直す重要な転換点ととらえるべきだ。(オルタナ総研所長=町井則雄)
ブラジル・ベレンで開いたCOP30は、「1.5℃目標」の達成を掲げたパリ協定の策定から10年、SDGsの目標年である2030年が5年後に迫るという中で国際社会が気候危機に向き合う姿勢について改めて問う場となった。
最大の焦点は、COP28でようやく合意された「化石燃料からの脱却」に向けた具体的な削減ロードマップが示されるかだった。だが、これは最終的に合意文言から消えた。
195カ国が合意した「ムチロン合意」や、森林保全・適応支援を前進させる「ベレン・パッケージ」には一定の評価をすべきだ。だが、具体的な数値目標や期限が見送られたことで単なる宣言に過ぎないという批判を避けることができない内容となってしまったのは残念だ。
■各国の経済的構造が国際交渉を困難に
■異常気象への「適応」を測る指標を合意へ
■自然資本が本格的に評価される時代に

