ナイキ・ラコステなど、英国で「ウォッシュ」認定、広告禁止に

記事のポイント


  1. 英国の広告監視機関は3日、ナイキ、ラコステなどの広告を禁止した
  2. 環境主張を裏付ける証拠を示すことなく、安易に「サステナブル」だと宣伝していた
  3. 製品ライフサイクル全体で環境への悪影響がないことの証拠も不足と指摘した

英・広告基準局(ASA)は12月3日、ナイキ、ラコステ、スーパードライが今年6月から始めたグーグル有料広告を禁止したと発表した。3ブランドが作成した広告には、「サステナブルな素材」「サステナブルなスタイル」など、一部、誤解を招く環境主張があったことが理由だ。ASAは消費者に対して、環境主張を裏付ける証拠を示せていないと指摘した。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

英・広告基準局は、「グリーンウォッシュ」を理由に、ナイキ、ラコステ、スーパードライの一部広告を禁止した

ASAは、問題となる広告について、AIを活用した広告監視システムで発見した。

ナイキは、テニス用ポロシャツの広告に「サステナブルな素材」を使用したと謳っていた。同社は当初ASAに対し、「一般的な表現を用いた」と説明し、消費者は提供製品の一部を指すものと解釈すると主張した。しかし、すでに当該広告を非公開としている。

ラコステは自社ブランドの子供服を「サステナブルでエレガント」だと宣伝していた。同社はASAに対し、過去数年間、全製品のカーボンフットプリントの削減に取り組んできたことを説明したものの、「グリーン」「サステナブル」「エコフレンドリー」といった主張の「裏付けは非常に困難」だと認めた。

若者向けアパレルブランドの「Superdry(スーパードライ)」は、同社製品の購入は「サステナブルなスタイル」だと謳っていた。

ASAは、英国の広告規範は、環境関連の主張をする際には明確で高度な裏付けが必要との規定があると指摘した。そして3ブランドの当該広告について、「それを裏付ける証拠は確認できなかった。したがって、広告は誤解を招く可能性が高いと結論付けた」とした。

ASAはまた、製品のライフサイクル全体を考慮した場合に環境への悪影響がないことを示す証拠が不足している点も指摘している。

英国では、競争・市場局(CMA)が2021年に「英国グリーンクレームコード(環境配慮の主張に関する指針)」を作成し、環境主張をする際には、「誠実で正確なもの」、「明確な主張であって曖昧ではないこと」、「重要な情報を抜いたり隠したりしないこと」などを定めている。

英国のファッション業界におけるグリーンウォッシュとしては、2022年に、同国で著名なファッションブランドである「ASOS(エイソス)」、「Boohoo(ブーフー)」、スーパー「Asda(アズダ)」が販売するファッションブランド「George(ジョージ)」の3ブランドの環境主張について、警告を出している。

 参考記事:英国、食品・日用品など「グリーンウォッシュ」監視強化へ

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

オルタナ輪番編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部、2024年1月からオルタナ副編集長。

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